ヒートテック、暖かいのはいいけど、
ビルの中で逆に暑い

――静電気は、公式の表示に一言もなし

写真はイメージ Photo by Nellie Adamyan on Unsplash

10/26 18:00 / 発信国:日本 / 記者:工藤

「ヒートテックのここが好き」5位 蒸れと静電気を公式の数字で検証

10月26日、X(旧ツイッター)の日本のトレンドに「#ヒートテックのここが好き」が入りました。トレンド追跡サイトtrends24.inで日本時間16時すぎのデータを見ると5位。同じ日の朝9時台のデータには「ヒートテッククルーネックT」「ヒートテックソックス」「ヒートテックレギンス」と、商品名そのものも並んでいます。朝から夕方まで、ヒートテック関連の語が残り続けた一日でした。

ユニクロは10月5日に2026年のヒートテックコレクションを発表し、綾瀬はるかさんが出演する新TVCM「LifeとWear/ヒートテックと生きていく」の放映も始めています。「好き」の投稿が集まる条件はそろっていました。

ただ、その「好き」の列の少し外側に「暖かいけど蒸れる」「静電気がつらい」という逆向きの声もあります。今回は、この少数派の言い分を、ユニクロ公式の商品ページに書かれた数字と機能の表示で確かめてみました。

公式の数字で計算してみた

公式の商品ページには、暖かさの倍数が書かれています。「超極暖」は通常のヒートテックより「約2.25倍暖かい」、「極暖」は「約1.5倍」です。

衣料品に付いた値札
写真はイメージ Photo by Angèle Kamp on Unsplash

値段は、公式サイトの口コミページで確認できます。ヒートテッククルーネックTが税込みで1,290円、超極暖ヒートテッククルーネックTが2,990円。差は1,700円です。

計算してみます。値段は約2.3倍、暖かさの表示は約2.25倍。ほぼ釣り合っている、という読み方ができます。一方、極暖ヒートテックカシミヤブレンドクルーTは2,490円で、通常の約1.9倍の値段。暖かさの表示は約1.5倍です。暖かさだけを円で買うなら、超極暖のほうが計算は合うことになります。

「蒸れる」を、公式は否定していない

超極暖の商品ページに並ぶ機能は「吸湿発熱と保温機能」「抜群のストレッチ性」、そして「衣類内の湿気を吸収放出することでムレを軽減」。筆者が引っかかったのは「軽減」という言葉です。「ムレない」とは書かれていません。蒸れることを前提に、それを減らす機能、という書き方になっています。

公式サイトの口コミにも、両方の声が並びます。「期待以上の暖かさと汗が籠らず快適に過ごせました」という声がある一方で、「寒い日に着用しましたがとても暖かかった。ただビルの中は暖房が効いていて逆に暑く感じました」という声も。極暖のカシミヤブレンドには「汗をかくとたまに肌が赤くなり痒みが出る時もあって着用をひかえてました」という投稿もありました。

汗をかく場面では、評価がはっきり変わります。登山メディアのYAMA HACKは、12月中旬の筑波山(山頂の気温は約1℃)でヒートテックを着て歩く検証をしています。重ね着をすると「先ほど以上に暑くなり、発汗量が増え」、濡れた生地が肌につく感覚が「想像以上に冷たく、不快」だったと書いています。レーヨンは濡れると乾きにくい繊維だという説明も添えられています。超極暖の組成は、公式表示で35%アクリル・34%ポリエステル・23%レーヨン・8%ポリウレタン。レーヨンは4分の1近くを占めます。

静電気は、公式の機能表示に出てこない

静電気のほうは、少し意外な結果でした。筆者が超極暖と極暖の商品ページを4つ開いて機能の表示を読みましたが、静電気に関する記載は1つも見つかりませんでした。載っているのは吸湿発熱、保温、吸放湿、ストレッチ、消臭、抗菌防臭です。公式サイトの口コミを「汗」で探すと声がたくさん出てくるのに、静電気に触れた口コミは、筆者が見た範囲では見当たりませんでした。この不満は、公式の外側で語られている話ということになります。

金属のドアノブ
写真はイメージ Photo by H&CO on Unsplash

手がかりは組成でした。生地の仕入れサイト「テキスタイルネット」の解説によると、ポリエステル・アクリル・ポリウレタンはマイナスに、ウールやナイロンはプラスに帯電しやすい素材です。同じ性質どうしの組み合わせなら、静電気は起きにくいとされています。超極暖は、そのマイナス側の3つで77%。上にウールのニットやコートを重ねると、プラスとマイナスの組み合わせになります。

同じ解説では、綿・麻・絹は帯電しにくい素材に分類されています。極暖ヒートテックコットンの商品ページを見ると、綿は52〜64%(色によって違います)。静電気が気になる人には、ここが選び分けの手がかりになりそうです。ただしユニクロが静電気について何かをうたっているわけではないので、効果を約束するものではありません。

ネットの評判

Xでは「#ヒートテックのここが好き」のタグで、愛用品や着心地を挙げる投稿が続き、商品名までトレンドに入りました。数のうえでは「好き」の側が多数派です。

一方、公式サイトの口コミには「暖房の効いた室内では逆に暑い」「汗をかくと肌が赤くなる」という声も混じります。ヒートテックソックスには「足汗でベタつくのが嫌なので、コットンソックスの上に重ねて」と、自分で綿を足している人の投稿もありました。登山の分野からは、汗をかき続ける場面には向かないという意見が、検証付きで出ています。暖かさへの評価と、汗の処理への評価が、きれいに分かれている印象です。

まとめ

公式の数字をそのまま並べると、超極暖は「値段約2.3倍・暖かさ約2.25倍」。暖かさは、わりと素直に円で買えます。ただ、公式が約束しているのは「ムレを軽減」までで、静電気については何も書かれていません。「暖かいけど蒸れる」「静電気がつらい」という少数派の声は、公式の表示と見比べるかぎり、どこも否定していないようです。汗をかく予定がある日に何を着るかは、倍数の外側で決める話なのかもしれません。

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