うちで作らないなら、
300%だ

――トランプ大統領が、外国のメーカーに

写真はイメージ Photo by Lilian Do Khac on Unsplash

11/7 22:08 / 発信国:アメリカ / 記者:ミヤムー

トランプ関税300%、日本車メーカーは工場を建てたほうが安いのか

11月5日、トランプ大統領がホワイトハウスで記者団に言った。アメリカに工場を建てない企業には「50、100、150、250、300%」の関税をかける、と。中間選挙で民主党に大敗した、その2日後だ。

トランプ大統領は、いま3,000を超える工場がアメリカで建設中だと話した。そして「いま関税をなくせば、その工場は一つ残らず、すぐ建設が止まる」。企業が工場を建てる理由の「99%」は関税だと言い、建て終えて動かせば「関税を支払う必要はない」とも話した。

関税の負担1兆1000億円、工場1つ2兆2000億円

では、日本の車メーカーには、どちらが高くつくのか。

電池工場の内部
写真はイメージ 撮影 Владимир Новиков/CC BY 4.0(ウィキメディア・コモンズ)

同じ11月5日、トヨタが決算を発表した。今期(2027年3月期)の米関税の影響は1兆1000億円の見込みだ。5月8日の時点では1兆3800億円だったが、部品ごとの還付(払い戻し)のルールを取引先と確認し、2100億円が戻る見通しになった。関税のコストが思ったより減り、通期の営業利益の見通しは5000億円上がって3兆9000億円になった。

工場を建てるといくらか。トヨタは2025年11月、ノースカロライナ州で電池工場を動かし始めた。費用は139億ドル、いまのレート(1ドル158円前後)で約2兆2000億円。雇用は最大5,100人。1人分の仕事をつくるのに約4億3000万円かかった計算になる。

工場1つが、関税の約2年分。数字だけなら建てたほうが安い。ただ、ここが悩ましい。工場は建てたら戻せないが、関税は政権や裁判所が変われば消える。「関税をなくせば工場は止まる」というトランプ大統領の一言は、それを本人が認めた言葉でもある。

「工場が来てうれしい」は、アメリカでも少数派

ホワイトハウスは11月6日、10月の製造業の雇用が1万9000人増えたと発表した。アメリカ製造業連合のスコット・ポール会長も「鉄鋼と中国への関税で、耐久財の製造業は恩恵を受けている」と話す。

ただ、この声は少数派だ。経済イノベーショングループが9月1〜8日に労働者1,507人に聞いた調査では、ブルーカラーの58%が関税に反対、賛成は36%だった。2025年は賛成のほうが3ポイント多かった。1年で逆転した。それでも2024年にトランプ氏に投票した人の69%は、いまも関税を支持している。

300%は、どの法律から出てくるのか

2026年2月20日、アメリカの最高裁は6対3で、IEEPAを使った関税を認めなかった。残るのは、品目ごとにかける通商拡大法232条と、相手国の不公正な取引を調べてかける301条。どちらも調査の手続きが要る。ほかの法律は上限つきで、122条は15%・150日まで、338条は50%までだ。

日本車の15%は232条が土台で、最高裁の判断の対象外だったから、いまも続いている。逆に言えば、300%を一気にかける道は、いまの法律に見当たらない。来年1月からは議会の多数が民主党になる。下院議長になるとみられるジェフリーズ氏は、最初の100日で関税を巻き戻す考えだ。11月7日朝の時点で、300%の対象になる品目や時期を示した発表は見つからない。

ネットの評判

日本のネットでは「300%は盛り過ぎ」という受け止めが多い。まとめサイト「大艦巨砲主義!」の23件のコメントには「もうそれ違法になっただろ」「関税の仕組みを教えてやれる人間は居なかったな」と、仕組みへの突っ込みが並ぶ。「もうアメリカ抜きで商売しようぜ」という声もあった。一方で、製造業を国内に戻す必要を認める声も出ている。

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