うちのトイレ、
世界一なんですけど

――ノルウェー政府観光局が、米大統領に

写真はイメージ Photo by Robert Bye on Unsplash

11/7 22:36 / 発信国:ノルウェー / 記者:ミヤムー

ノルウェー、トランプ氏の「外便所」で観光PR 広告費は850万円未満

ノルウェー政府観光局が、国の公衆トイレの写真で観光の宣伝を始めた。きっかけは、トランプ米大統領が10月25日、ミシガン州の集会でノルウェーを「くそまみれの外便所のような国」と呼んだことだ。自身がノーベル平和賞に選ばれなかった不満からだった。観光局は自らのサイトの見出しを「これが世界一の外便所か?」に書き換えた。10月31日には、ニューヨークのタイムズスクエアの大型画面に「外便所の国へようこそ」と出した。画面代は50万ノルウェークローネ(約850万円)未満だと、公共放送NRKが伝えている。

本誌が10月27日に伝えたとおり、言われた側は怒らなかった。外相は「彼はノーベル委員会が独立していることを、とてもよく分かっている」と話しただけだ。平和賞を決めるのはノルウェー・ノーベル委員会で、政府ではない。

新しく書いたのは、見出しの一行

観光局が出したページは、新しく作ったものではない。visitnorway.comの編集長クリスティン・バグロ氏は、5年前からあったページを使ったと、旅行業界の媒体Skiftに話した。中身は国立観光道路沿いにある11か所のトイレの紹介だ。そこに「ノルウェーは外便所を再び偉大にする!」の一行を足した。トランプ氏の「アメリカを再び偉大に」のもじりだ。

設計された公衆トイレの建物
写真はイメージ Photo by Marek Lumi on Unsplash

で、いくらかけたのか。SNSの広告は1万ドル(約158万円)未満。流入の9割ほどは自然流入だった。ページは5日で8万回以上開かれ、前の週の540倍になった。読んだ人の4分の1ほどはアメリカからだ。InstagramとFacebookの投稿は、3日で350万回表示されたという。

タイムズスクエアの画面に映ったのは、北部ヘルゲラン海岸にある「ウレッドプラッセン」のトイレ。観光局のアンネ・シグネ・ファーゲレング氏は「ノルウェーのことを、みんなが話していると感じる」とNRKに話した。アメリカからの反発について「その兆しはない」とも言っている。

怒って返すべきだ、という立場もある

笑いで返すのが唯一の答えではない。米上院議員のバーニー・サンダース氏は、ノルウェーを「地球でいちばん民主的で豊かな国のひとつだ」と言い、「我々には、精神的に不安定な大統領がいる」と正面から批判した。ノルウェー紙ダーグブラーデットが伝えている。

ベルゲン大学で修辞学を教えるイェンス・キェルセン教授は、NRKにこう話した。「幼稚園のいじめっ子と同じだ。まじめに取り合うと、いじめっ子が勝つ」。観光局でSNSを担当するエフゲニア・エゴロワ氏は、AP通信に「人生がレモンをくれたら、レモネードにすればいい」と話した。

11月7日の時点で、トランプ氏やホワイトハウスがこのキャンペーンに答えたという報道は見つからなかった。

ネットの評判

AP通信は、キャンペーンへの反応が圧倒的に好意的だったと伝えている。NRKによると、アメリカのハフポストはこの広告を時宜を得たものだと評した。日本では11月7日にAFP=時事が伝え、その記事がYahoo!ニュースの国際のアクセスランキングに入った。否定的な声は、開いて読めた記事の中では確かめられなかった。

タイムズスクエアの大型広告
写真はイメージ Photo by Quick PS on Unsplash

紹介された11か所でいちばん知られているのは、アウルランスフィヨルドを見下ろすステガスタイン展望台のトイレだ。2015年、イギリスのデザイン誌が選んだ世界の公衆トイレ10選で1位になった。罵倒されるずっと前から、世界一だったことになる。

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