全部直しておきました。
入れるかは、そちらで
――最後にマージを押すのは人間
写真はイメージ Photo by Arnold Francisca on Unsplash
「一気通貫」のDevin Security 2.0、自動修正はどこで止まるか
「脆弱性を見つけるところから直すところまで、まとめてやります」。そんな売り文句の製品が出たと聞いて、筆者が一番気になったのは、人間の出番がどこに残るのかという点でした。
AIソフトウェアエンジニア「Devin」を開発するアメリカのCognitionが、2026年10月26日(米国時間)、セキュリティ製品「Devin Security 2.0」を発表しました。脆弱性の検出、優先順位付け、修正までを一つの流れで担うとしています。
Xでこの投稿を見る
同社は、数億ドル規模の「Devinクレジット」を企業向けに提供するとしています。日本語のリリースによれば、2026年11月30日までの期間限定で、エンタープライズ顧客に無料のスキャンを実施するとのこと。価格は公表されていません。
公式記事では、Devinは「PRを開く」ところで止まる
まず、公式が説明する流れを確かめました。Cognitionのブログは、Devin Securityの動きを4段階で書いています。脅威モデルに照らしてリポジトリを調べる「Plan」、選んだコードを並列で調査する「Map & Investigate」、結果をまとめて重複を消し、つながった攻撃経路を見つける「Aggregate」、優先度の高い検出結果をサンドボックス(隔離した試験環境)で実際に試す「Validate」です。
では、修正はどうなるのか。ここが筆者の関心の的でした。公式ブログは、Devinが「調査結果とテスト結果を添えたプルリクエストを、レビューのために開く」と書いています。プルリクエスト(以下、PR)は、プログラムの直し方を提案して、取り込むかどうかを相手に判断してもらう仕組みです。さらに「PRがマージされ、その変更が攻撃経路に対処できているとDevinが確認するまで、検出結果はオープンのまま」とも書かれています。
日本語のリリースも同じで、「修正の取り込みはお客様のチームによるレビューを経て行われます」とあります。優先順位付けについても「人間による最終承認を経ます」としています。
つまり「一気通貫」は、黙って直して終わり、ではありません。提案をそろえるところまでがDevinの仕事で、最後の判断は人間に戻ってきます。
6,080件のAIパッチを調べた研究では、きれいに直ったのは26.0%
なぜ、人間のレビューが最後に残るのか。別の数字を見ると、背景が見えてきます。
パスワード管理の1Passwordは2026年8月、最近公開された6つのCVE(公表された脆弱性に付く管理番号)を対象に、最新のモデル2つに6,080件のパッチを作らせ、中身を調べた結果を公表しました。同社のセキュリティ研究ディレクター、Keith Hoodlet氏によると、脆弱性を完全に解消し、かつアプリの挙動を大きく変えなかったパッチは26.0%でした。
内訳はこうです。挙動は変わったが直った20.1%、直したが新たなセキュリティ上の問題を作った2.3%、悪用経路を少なくとも1つ消せなかった49.3%、直せずに新たな問題も作った2.2%。6,080件に当てはめて計算すると、「きれいに直った」のは約1,580件、「悪用経路が残った」のは約3,000件という規模になります。
Hoodlet氏は「人間のレビューを通さない、完全にLLM任せのパッチの期待値は、かなりの差でマイナスだ」と書いています。
もっとも、この調査には異論もあります。別のセキュリティ研究者2人が、調査の厳密さと結論に疑問を投げかけました。1Passwordは指摘を受けて注記を加えましたが、報告自体は取り下げていません。この数字を結論として受け取るのは早い、という見方もあるわけです。
ネットの評判
Devin Security 2.0の発表そのものへのSNSの声は、筆者が探した範囲では確かめられませんでした。ただ、「AIにパッチを任せる」という考え方への受け止めは、開発者の側に記録が残っています。
アイダホ州立大学などの研究チームが、GitHubに出されたAI生成のPRを調べた論文では、セキュリティに関わる675件のうち、取り込まれたのが52.4%、閉じられたり却下されたりしたのが32.4%でした。論文は、メンテナー(プログラムを管理する人)の態度を「慎重な信頼と選択的な受け入れ」と表現しています。「AIが書いたコードへの不信」を理由にした却下は1.8%で、少数です。AIが書いたから断るのではなく、中身を見て判断している人が多い、という読み方になります。
一方で、取り込まれたパッチにも問題が残っていたとされています。正規表現の非効率が36.2%、OSコマンドインジェクションが13.0%、パストラバーサルが10.3%。人間がレビューしても抜けは出るという点で、慎重論の側には痛い数字でもあります。
なお、Cognitionの公式ブログは、オープンソースのcurlプロジェクトに届いたセキュリティ報告が、2025年の1年間で181件だったのに対し、2026年は10月22日までで356件に増えたという数字を挙げています。日数で割ると、1日あたり0.50件から1.21件へ。報告の量そのものが膨らんでいることが、この製品の背景にあるようです。
まとめ
公式記事と研究の数字を並べてみて、筆者は「一気通貫」という言葉が指す範囲が、思っていたより狭いと感じました。Devinは見つけて、再現して、直して、テストして、PRを出します。そこから先は、人間がマージのボタンを押す仕事です。
AIに任せる範囲が広がるほど、最後の一押しの重さは増していくのかもしれません。導入を考える立場なら、筆者はまず「自分のチームに、増えたPRをレビューできる人手があるか」を数えてから判断します。
うちのソース付けて食うわ
日本人は何も言えんやろ
――フランスから投稿した人が、日本人に
残ったのは、高い席ではなかった
Number_i札幌ドームの空席報道
何もない田舎の風景
それでも300人が見ている
――岩手・遠野、田んぼの神社の24時間配信
- Devin Security 2.0: Built for the new threat landscape(Cognition公式ブログ)
- Cognition、脆弱性の検出から修正までを一気通貫で担う「Devin Security 2.0」を発表(PR TIMES・同社リリース)
- AI struggles to patch vulns without adult supervision(The Register)
- Human oversight is still critical as AI patching tools miss security risks(CSO Online)
- Insights into Security-Related AI-Generated Pull Requests(arXiv)