クマ、硬すぎないか

――乗客32人は車内で一夜

11/2 14:26 / 発信国:日本 / 記者:工藤

特急がヒグマと衝突して脱線 クマ衝突は2025年度57件で最多

10月30日の午後10時50分ごろ、北海道のJR宗谷線で、旭川発稚内行きの特急「サロベツ3号」(4両編成)がヒグマと衝突した。場所は天塩中川駅(中川町)と問寒別駅(幌延町)の間。クマは先頭車両の下に巻き込まれ、その車輪が脱線した。乗客32人と乗員2人にけがはない。JR北海道によると、ヒグマとの衝突による脱線は、会社が始まって以来初めてだ。

運転士は約50メートル手前でクマを見つけたが、ブレーキが間に合わなかった。現場はカーブが続く場所だ。では、なぜ乗客は夜のあいだ降りられなかったのか。JR北海道は「手負いのクマは一番危ないので、ハンターに同行いただかないと現地に行くのは非常に危険だと判断した」と話した。乗客がタクシーに乗り換えたのは31日の午前9時半ごろ。待機は約10時間だった。

クマは死んだ。現場に来たハンターによると、体重は300キロほど。10月31日は15本が運休し、約400人に影響が出た。11月1日も音威子府と稚内の間は終日運休で、旭川と稚内の間で代行バスが走る。復旧のめどは立っていない。国の運輸安全委員会は、鉄道事故調査官2人を現地に送った。

57件のうちの、1件

珍しい事故に見える。ただ、ぶつかること自体は珍しくない。JR北海道の発表では、2025年度に列車とクマが衝突したのは57件。前の年度より36件増えて、過去最多だ。シカは3478件。クマとぶつかると、線路に降りるのにハンターや専用の機材が要るので、運転を再開するまで時間がかかるという。

北海道のヒグマの推定生息数は、2023年末で1万1661頭。1991年に統計を始めてから、初めて前の年より減った。それでも2025年度に捕まえた数は1月末までで2013頭と、こちらは過去最多だ。数は減り、捕獲は増え、衝突も増えた。この57件は、「クマが線路に出てきた」とも読めるし、「クマが歩く場所に線路が通っている」とも読める。北海道では後者のように見る人も根強くいる、というのが筆者の見方だ。

ネットの評判

Xでは驚く声が目立つ。「宗谷本線、クマと当たって脱線? クマ硬すぎね?」「今週乗った時も普通にシカが逃げていたがクマはきついな」。掲示板のまとめにも「クマつえ~」「クマパワーすごいね」が並ぶ。乗客を心配する声も多い。「トイレはどうしていたのか気になっていた」「真冬だったらヤバイ」。数は少ないが、人が山を切り開いたからクマが降りてくるのではないか、と人間の側に目を向ける書き込みもあった。

運輸安全委員会の調べは始まったばかりだ。クマを巻き込んだだけで車輪が線路から外れた理由は、まだ分かっていない。

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