生乳は売れない。だから牛を売った
米ケンタッキー州、週に約1,900リットル
生乳を売るのは違法なケンタッキー州、農家が売っているのは牛の「持ち分」
アメリカ・ケンタッキー州では、低温殺菌をしていない「生乳」を客に直接売るのは違法だ。それでも、生乳は売られている。農家が売っているのは、牛だ。。。え? ケンタッキー公共テレビ(KET)は、州内の小さな酪農場がこの仕組みで売る様子を動画にしている。
ローガン郡で3代続く酪農家のマイク・アームストロングさんが、公共ラジオのLPMに仕組みを話した。「要するに、客に牛の持ち分を売っているんだ。そうすれば客は自分の牛から乳をもらっていることになる。完全に合法だ」(訳)。これがハードシェア。10年ほど前に「食べていくための手段として」始めた。いまは週に約500ガロン(約1,900リットル)を、ケンタッキー州とテネシー州に配っている。1リットルの牛乳パックで1,900本、毎週だ。
許可を受けた酪農場は、設備の清潔さを定期的に検査される。ケンタッキー州酪農開発協議会のトリ・エンブリーさんは「許可を受けていないなら、そういった検査は一つも受けていない」と話す(訳)。州内にハードシェアの農場は数十あり、共通の決まりはない。州は、こうした農場があることを知りながら止めていない。9月には、低温殺菌していないチーズで大腸菌の集団感染が起きた。13人が体調を崩し、8人が入院。うち1人はケンタッキー州の人だ。
売っている側が、怒っていた
では、売る側は何も気にしていないのか。アームストロングさんが心配していたのは、同じ生乳を売る人たちだった。「牛から搾った乳をミルク缶に入れて、小川に浸けて冷やす。あれはやり方が違う」(訳)。自分のところでは牛を1頭ずつ過酸化水素のシートで拭き、冷却用の容器を2つ日替わりで使い、休ませたほうを手で洗う。規制の外にいる人が、規制の外のやり方に怒っていた。
味はどうか。マレー州立大学で動物科学を教えるトーマス・パウエル教授は、生乳のほうが栄養で優れているという科学的な裏づけはないと言う。違うのは味だ。「生乳は、少し味が違う」(訳)。そのうえで、免疫が落ちている人や小さい子、妊娠中の人、高齢者は避けてほしいと話す。
隣のテネシー州は、ハードシェアの会員名簿を3年間残させており、汚染が出たら調査することを義務づけている。ケンタッキー州には、その決まりがない。だから教授と農家は、最後に同じ助言をした。農場を自分の目で見に行け、と。
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