全部吸い込まれると
思っていた
――ブラックホールの話で、よくある思い込み
写真はイメージ Photo by NASA Hubble Space Telescope on Unsplash
円盤はブラックホール半径の20倍手前で切れていた 東北大などが同時観測
東北大学などの研究チームが、ブラックホールの「縁」の位置を測った。おうし座の方向、約4億2000万光年先にある巨大ブラックホール3C120。太陽の約6000万倍の重さがある。その周りをまわる冷たいガスの円盤は、ブラックホール半径の約20倍のところで途切れていた。
円盤って、端っこまでつながっているんじゃないの? そう思っていた人は多いと思う。
使ったのは、X線分光撮像衛星「XRISM」と、世界の電波望遠鏡をつないだ観測網。この2つを同じ天体に同時に向けたのは世界で初めてだという。論文は10月19日、米国の学術誌The Astrophysical Journal Lettersに載った。
吸い込むはずの天体が、噴き出している
ブラックホールといえば、何でも吸い込む穴として知られている。ところが3C120は、光の速さに近いジェットを外へ噴き出している。東北大学は、大量の物質を吸い込むブラックホールがジェットを噴き出す仕組みを「大きな謎」としてきた。
ここが、理屈として合わなかった。ジェットはブランドフォード・ズナエク機構で出ると広く考えられている。ただ、この仕組みが効くには、ブラックホールの近くに熱くて分厚いガスの流れが要る。3C120のように勢いよく物を吸い込んでいる天体は、冷たくて薄い円盤が主役になるとされ、大きな磁場を支えられない。論文は、これを「矛盾」と書いている。
3C120がどれだけ食べているかの目安も出ている。ほとんど吸い込んでいないM87と比べると、論文の数字では5けた以上の差がある。東北大学の発表は、3C120を「爆食い」と呼んだ。
X線と電波が、同じ場所を指した
XRISMが3C120を見たのは、2025年3月19日から24日まで(世界時)。電波側は、波長3ミリ帯のGMVA(米国・欧州・チリ・韓国・グリーンランドの18局)、7ミリ帯と2センチ帯のVLBA(10局)、1センチ帯のEAVN(日本・韓国・中国の10局)。GMVAの観測は4月26日と27日にやった。
X線で見えたのは、幅が広がった鉄のK輝線だった。ここから、冷たくて薄い円盤は約20重力半径で途切れ、内側は熱くて分厚い流れに入れ替わっていると分かった。温度は数億度。太陽の真ん中が1600万度(JAXA)だから、その6倍以上だ。
電波のほうは、ジェットの根元の太さを測り、ブラックホールの地平面に向けて延ばしてみた。出てきた太さは、円盤が切れる半径と同じか、それより細い。論文では、地平面の近くで7重力半径以下に収まるとしている。
つまり、ジェットが出ていたのは、冷たい円盤が途切れたその内側だった。
分かったのは場所で、仕組みはまだ
ここは正確に書いておきたい。東北大学は今回を「歴史的な一歩」としているが、論文の言い方は慎重だ。ジェットが出るのは「おそらくブランドフォード・ズナエク過程を通して」とあり、仕組みそのものを確かめたとは書いていない。世界初なのは、XRISMと世界の電波望遠鏡の観測網を同時に向けたことで、ジェットや円盤そのものの発見ではない。
それでも、残った数字は面白い。食べる勢いが5けた以上違う天体でも、ジェットが出てくるのは、円盤が途切れた内側の熱い流れからだった。
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――止め方は、会社によって分かれた
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- Disk truncation triggers relativistic jet launching of a highly accreting supermassive black hole(arXiv、論文本文)
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