無償化って言ってたのに、
制服で10万円?
――経済的に厳しい世帯の保護者425人への調査から
写真はイメージ Photo by ROBIN WORRALL on Unsplash
高校無償化でも高1の27%が「私立は選べない」 学校納付金は倍の14万円
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが10月19日、経済的に厳しい子育て世帯の教育費を調べた結果を出した。高校1年生の進路選びについての問いで、27.0%が「結局授業料以外の出費があると思ったため、私立は選択肢に入れられなかった」と答えた。いちばん多い答えだ。高等学校等就学支援金の所得制限がなくなり、いわゆる「高校無償化」が始まったその年の春の話だ。
同じ問いで、「私立高校を第一志望として進学の選択肢に入れられた」は16.2%、「私立高校を併願校として安心して受験に挑めた」は12.2%だった。無償化で選択肢が広がった家庭も、たしかにある。
調査は2026年5月27日から6月12日まで、オンラインで行われた。答えたのは保護者425人と中高生125人で、全国45都道府県から集まった。ただし、だれでも答えられる調査ではない。対象は、この団体の給付金を使っている世帯だけだ。教育新聞によると、83.3%がひとり親の世帯だった。全国の平均ではなく、お金に困っている家庭の中の数字になる。
倍になった「学校納付金」
私立高校に入った高1の家庭で、いちばん増えたのは授業料ではない。学校納付金だ。平均14万7526円。前の年の調査では7万3364円だったから、ほぼ倍になっている。
入学金も14万5961円から17万3135円に増えた。制服代は9万3646円から10万8766円。1万5120円の上乗せだ。
なぜ増えたのか。そこは、この調査では分からない。金額の変化は出ているが、学校側の理由までは聞いていない。
では、何が無償になったのか。文部科学省のQ&Aによると、就学支援金は授業料に充てるためのお金で、それ以外には使えない。制服代や教科書代は、高校生等奨学給付金という別の制度の話になる。つまり「無償化」で消えたのは、授業料の分だけだ。
制服も運動着も、パソコンも自前
学校から指定され、個人で買うよう求められたものは何か。制服が85.9%で最も多い。運動着が83.3%、上履きが74.8%と続いた。
パソコンやタブレットを買う必要があった家庭は、国公立高校で54.1%、私立高校で58.2%。そのうち8割以上は、機種まで学校が決めていたという。私立で公的な補助を受けられたのは7%だけだった。
調査では、パソコンやタブレットを学校の備品にすべきだと答えた人が、保護者も中高生も6割を超えている。高校1年生からは、こんな声も出た。
「授業料は無償になったりするけど、教科書代や制服、体操服、体育館シューズなどがけっこう高いので、身長が伸びて成長してもなかなか買い替えられない。教科書を買っても学校で全く使わないものもあるので、無駄だと思います」
団体は提言を5つ出した。授業料以外の費用への支援を増やす、学用品を学校の備品にする、高校に入る前の準備金をつくる、パソコン・タブレットの貸し出しや補助が都道府県でどうなっているかを調べる、私立高校の授業料以外の費用を把握する、の5つだ。
ネットの評判
Yahoo!ニュースに配信された弁護士JPニュースの記事には、482件のコメントが付いた。意見は割れている。
多いのは、公立を良くすべきだという声だ。公教育は公立の役割で、私学に出すより公立の設備にお金を使うべきだ。私立は選択肢なのだから、公立を充実させればいい。特待生や奨学金を使えばいい、という書き込みもある。
補助金そのものを疑う声もあった。お金を入れると学校が値上げするのではないか。授業料を無償にするより、返さなくていい奨学金を増やすほうが効くのではないか、という意見だ。
ただ、現実はそう単純ではないという声もある。私立と公立では入学金や修学旅行費の差が大きい。地方では交通費もかかるから、公立でも安くはない。公立にない部活をやりたい子もいる、という書き込みもあった。
値上げを疑う声に、この調査は答えていない。ただ、数字は一つある。公立高校に入った家庭でも、学校納付金は1万5372円増えて4万4711円になっていた。制服代は900円下がり、パソコン・タブレット代も5564円下がっている。公立を選んでも、学校に払うお金は増えていた。
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