給与明細、見えるところに
置いてあった
――ある妻が、家の中で
写真はイメージ Photo by Nathan Dumlao on Unsplash
妻が稼ぐと夫がしんどい? 元の研究では、夫がいちばん楽なのは妻が4割稼ぐとき
「夫より高学歴・高収入『上司と部下のよう…私がモラハラなのか』悩む妻」。ABEMA TIMESがこの見出しの記事を出した。記事は、Yahoo!ニュースの国内アクセスランキングで1位、コメントランキングでも10位に入った。見出しには、研究では結婚後に妻が夫を収入で上回ると男性の心理負担が増す、という説明も添えられている。
ところが、その記事は、いま開いても出てこない。Yahoo!ニュースのページは「指定されたURLは存在しませんでした」と返し、ABEMA TIMESの記事ページも見つからない。番組の切り抜き動画も、YouTubeで非公開になっていた。理由は分かっていない。そこで本誌は、見出しが指している研究のほうを直接読んだ。
元の研究は、妻が4割稼ぐときがいちばん楽
ABEMA TIMESは前にも同じテーマを扱っていて、そこでは妻の収入が世帯収入の40%を超えると夫が苦痛を感じる、という米国の研究を紹介している。これに当たるのが、2020年の論文「Spousal Relative Income and Male Psychological Distress」だ。Joanna Syrdaが書き、学術誌Personality and Social Psychology Bulletinに載った。米国の家計を長く追いかけている調査(Panel Study of Income Dynamics)の2001年から2015年分、6,035世帯・19,688件のデータを使っている。
で、何が書いてあるのか。世帯収入のうち妻が占める割合と、夫の心理的苦痛の関係は、はっきりしたU字だった。苦痛がいちばん小さくなるのは、妻が4割を稼いでいるとき。そこから妻の割合が増えると苦痛は上がっていき、夫が妻に完全に養われている状態で、いちばん高くなる。
ここが、肝心なところだ。U字には左側もある。妻の収入がほとんどなく、夫がひとりで家計を背負っているときも、夫の苦痛は高い。論文は、ひとりで稼ぐ役を背負う重さと、妻に稼ぎを上回られることの両方を挙げている。「妻が稼ぐと夫がつらい」ではなく、どちらかに全部寄るとつらい、という形だ。
結婚したときから妻が上だった夫婦には、出ていない
論文には、もう一つ書いてある。結婚の初めから妻が夫より稼いでいた夫婦では、この関係が見られなかった。著者は、相手選びの段階が大きいという話につなげている。
では、何が違うのか。効いているのは金額そのものではなく、途中で順番が入れ替わったこと、ということになる。あわせて言えば、この論文が測っているのは夫の心理的苦痛で、モラハラではない。妻の側が答えたパターンは、夫ほどはっきりしたU字ではなかった。
順番が入れ替わる夫婦は、これから増える。内閣府の令和4年版男女共同参画白書によると、2021年の共働き世帯は1,177万世帯、男性が働いて妻が無業の世帯は458万世帯。2倍以上の差がついている。
稼いでいる側が気を遣い続ける話も、すでに出ている。ABEMA TIMESが以前に伝えた回には、育休中に資格を取って収入が夫の約1.5倍になった30代の女性が出ていた。夫が寝たあとに仕事をして、働いていること自体を隠していた。家事と育児は全部ひとりで。夫が収入差に気づいたあと、自分の給与明細を家の目につく場所に置いたという。彼女は離婚を選んでいる。
逆の側もいる。同じ回に出てきた29歳の男性は、妻の年収が自分より約100万円多い。お金を稼ぐという家の大事な役割で、自分が劣っていると感じたと話している。
ネットの評判
はてな匿名ダイアリーには、11月2日に投稿が出ている。高学歴・高収入の妻を責めるコメントが多いことに違和感がある、という書き出しだ。妊娠と出産の負担も、育休でキャリアが止まるのも、家事育児の6割も妻側に来ている、と並べ、女だけが二重で罰を受けていると書いている。なお本誌では、元の記事のコメント欄そのものを確かめられなかった。
その投稿は、だから下方婚は避けたほうが良い、と結んでいる。妻を責める声への反論なのに、落としどころは稼ぐ男と結婚しろ、になる。ここでも、家事と育児をだれがどれだけ持つのか、という話は後ろに下がった。
だれが悪いのか、という問いに、この論文は答えていない。ただ、苦しさが出る夫婦と出ない夫婦を分けていたのは、妻の年収の額ではなかった。結婚したときから妻のほうが稼いでいた夫婦には、この苦しさが出ていない。
うちのソース付けて食うわ
日本人は何も言えんやろ
――フランスから投稿した人が、日本人に
残ったのは、高い席ではなかった
Number_i札幌ドームの空席報道
『VIVANT』は反中プロパガンダ?!
批評家・藤崎剛人がnoteに書いた答え