オーガニックって
書いてあるけど、本当?

――ある客が、化粧品の棚の前で

写真はイメージ Photo by Frankie Lopez on Unsplash

10/26 13:28 / 発信国:スペイン / 記者:工藤

アマゾンの油とサボテンの種 自然派コスメの認証マークは、いくらかかるのか

スペインの自然派コスメ専門メディア「Organic Beauty Mag」が10月17日、自社のブランド一覧に19ブランドをまとめて足した。うち6つが、ブラジル、メキシコ、コロンビア、チリのブランドだ。選んだ軸は2つ。その土地にしかない植物と、ヨーロッパ発の認証マークだ。

実1トンから、油は1リットル

メキシコのSemyas Bioは、ウチワサボテンの種から油を採る。メキシコ高地の野生と有機のウチワサボテン16種類以上から、株を傷めないよう手で摘む。この油はEcocert GreenlifeのCOSMOS Organicを取っている。Organic Beauty Magは、COSMOSの公式一覧に載るメキシコ製品はこれだけだと書いている。

なぜ珍しいのか。採れる量が、とにかく少ない。業界の説明では、油1リットルに果実が1,000kg以上、種が約30kg要る。実1トンで、1リットルのペットボトル1本分。

印の値札は、初回35万円から

その印は、どう手に入るのか。Ecocertのような審査機関に頼み、工場を見てもらい、原料の書類をそろえる。業界の比較記事では、初回の審査が2,000〜5,000ユーロ(約35万〜88万円)。毎年のライセンス料が500〜2,000ユーロ(約9万〜35万円)。取得まで3〜6か月。小規模メーカーには高すぎることが多い、と同じ記事は書いている。

棚に並ぶ化粧品の瓶
写真はイメージ Photo by Omar Lopez on Unsplash

ドイツの化粧品開発会社コスマコンによると、2024年からは香料や精油のブレンド1つごとに350ユーロ(約6万2,000円)の検証費用が加わった。処理に最大9か月かかることもあり、小さいメーカーには特につらい、とも書いている。

3か月かけて油を作る16人

ブラジルのSimple Organicも、COSMOS Organicで一覧に入った。アンジロバ、コパイバ、パタウアというアマゾンの油を使うブランドだ。

森の木から採れた種
写真はイメージ Photo by Mayank Gupta on Unsplash

同じアンジロバの油を、認証なしで作っている人たちがいる。ブラジルの公共通信社アジェンシア・ブラジルが7月に伝えた「Amélias da Amazônia(アマゾンのアメリアたち)」だ。パラ州西部、タパジョス国有林のサン・ドミンゴス集落で、3人の姉妹を中心に16人。アンジロバの油は、集めて、洗って、煮て、干して、割って、練って、置いておく。全部で3か月かかる。

姉妹の一人、マリレイデ・ダ・シルバ・モンテイロはこう話している。「アンジロバから油を採る技術は、祖父母と親から教わった。文化と伝統として、渡してくれた」(訳)。油の収入で、息子の学校の費用が払えるようになり、もう少しいい靴も買ってやれる。「全部をまかなえているとは言えないが、始まりではある」(訳)。この記事に、認証の話は一度も出てこない。

印は要るのか。要る、という側の根拠は強い。化粧品には、食品と違って第三者の認証の義務がない。だから誰でも容器に「オーガニック」と書ける。英国のソイル・アソシエーションが調べたら、オーガニックと名乗る製品の中に、本当にオーガニックな原料が1つしか入っていないものがあった。同団体のクレア・マクダーモットは、4分の3の人が「ナチュラル」「オーガニック」の表示にだまされたと感じている、とユーロニュースに話している(訳)。その記事は、ロンドンの小さなブランドが認証の費用を払えないことにも触れている。

印がないからといって、中身が悪いわけではない。ただ、棚の前に立つ客には見分けられない。ちなみに、今回の19のうち、スイスのヴェレダには日本に正規の輸入代理店がある。だが、中南米の6ブランドについては、日本の正規の販路を出典で確かめられなかった。一覧に載った19のうち、中南米は6つ。そのどれも、ヨーロッパの団体が作った基準で選ばれている。アマゾンの森で3か月かけてアンジロバの油を作る16人の名前は、その6つの中にない。

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