売上の1%だから、
この商売はもう辞めます
――インドの認証局eMudhraが、鍵が割れた数日後に
写真はイメージ Photo by Sasun Bughdaryan on Unsplash
高市首相が動いたPHP騒ぎの裏で インドの認証局の秘密鍵は「4」だった
インドの認証局eMudhraが使っていた中間認証局の秘密鍵は、ひとつが「4」だった。ほかの7本は56、66、115、155、156、230、237。本来は384ビットのでたらめな数が入る場所に、1バイトで書ける数が座っていた。研究者のスコット・ヘルム氏は、公開されている証明書から8本すべてをノートパソコンで割り出した。かかった時間は1秒未満。
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同じ週のことだ。10月21日の夜、高市首相がXに「今夜に対応して頂きたい大至急のお願い」と書いた。PHPの重大な欠陥、PHP2Shellの話だ。CVE-2026-109618とCVE-2026-109619の2本で、CVSSは9.2。影響するのはPHP 5.4から8.5まで。W3Techsの集計では、サーバー側の言語が分かっているサイトの約69%がPHPだ。日本でもゲームや通販のサービスが次々と一時停止した。
その騒ぎの横で、ウェブの技術を書いているjxck氏が、eMudhraのほうが「比較にならないくらいヤバい」とブログに書いた。はてなブックマークでは394人が登録し、テクノロジーの1位に入った。でも、一般のニュースはほとんど追わなかった。
鍵が「4」だと、何ができてしまうのか
HTTPSの鍵マークは、認証局が証明書に署名することで成り立っている。1枚1枚のサイト証明書に実際に署名するのは、その下にある中間認証局だ。今回は、その中間認証局の秘密鍵が8本、誰の手にも渡る状態だった。
鍵があれば、どのドメインの証明書でも自分で作れる。ブラウザは本物として受け取る。カフェのWi-Fiで銀行のサイトを開いたつもりが、よそのサーバーだった、ということが起こり得た。
なぜそんなことに。eMudhraの説明では、2025年4月30日に24個の下位認証局ぶんの鍵を作る式を行った。そのとき、鍵を海外へ持ち出すための包み直しの試験をスクリプトに足していて、不具合で2組目の弱い鍵ができた。名前が似ていたので、担当者が弱いほうを選んでしまったという。
対応は速かった。報告が届いたのは10月17日18時5分(UTC)。Chromeはその1時間40分後に、問題の鍵を拒否する一覧を配った。ブラウザの更新も再起動も要らない形だ。eMudhraは18日に8本を失効させた。Appleは19日に12枚の証明書を、23日には根っこの証明書(emSign ECC Root CA – G3)をブロックした。MozillaとMicrosoftは20日。Googleによれば、証明書の透明性ログに、この8本から出た証明書は見つかっていない。
厄介なのは、別の会社の署名も付いていたことだ。Sectigoが2025年5月に、8本すべてにクロス署名をしていた。道が2本あると、eMudhra側だけ閉じても、もう1本が残る。
そして10月22日、eMudhraは世界向けの証明書事業から撤退すると発表した。理由に挙げたのは3つ。売上の約1%しかない、決まりを守る費用がかさむ、無料で証明書を出すLet’s Encryptのような相手に勝てない。
ネットの評判
Hacker Newsには2つのスレッドが立った。鍵が割れた件が1,281点・504コメント、撤退の件が1,152点・745コメント。声は厳しいほうが多い。署名が合わないと分かった時点で止めなかったのが一番おかしい、監査をしているのは会計士で、鍵の強さは誰も確かめていない、といった指摘が並ぶ。セキュリティや信頼をこの会社に預けるのはロシアンルーレットと同じだ、という書き込みもあった。インドの読者からは、国内の監督が甘く、海外から見られなければそのままだった、という声も出た。
少数派もいる。スクリプトの取り違えは人のミスとして起こり得る、という読み方。売上1%の事業で信頼をすり減らすなら、やめるのは経営の判断として筋が通る、という見方だ。日本側では、はてなブックマークでjxck氏の記事が総合4位まで上がり、一般のニュースとの温度差そのものが話題になった。
SafariとMailは直った。curlとgitは、まだ
Appleのサポートページには、注が1つ付いている。SafariやMail、Appleの枠組みを使うアプリは、もう自動でブロックする。ソフトウェアの更新も要らない。でも、macOSに入っているcurlとgitは、/etc/ssl/cert.pem という別の一覧を見ている。こちらは将来のmacOSの更新まで、この証明書を受け入れることがある。
つまり、ブラウザの中はもう直っていて、同じMacのターミナルは、次の更新を待っている。
人口は減ったのに、
市税は13年ぶりの高さ
――室蘭市の2025年度決算
賞をくれなかったから、
もう来なくていい
――トランプ米大統領が、ノルウェーに
VIVANTの廃工場に、日本語の安全看板
TBS系『VIVANT』第21話/週刊女性PRIMEの報道
- eMudhra のインシデントは Web にとって何を意味するのか
- Protecting Chrome and Android Users from Compromised eMudhra Intermediate CA Certificates
- About the compromised eMudhra intermediate CAs - Apple Support
- eMudhra security blunder left trusted CA signing keys exposed to anyone - Help Net Security
- PHP2Shell - Wikipedia
- PHPの重大な脆弱性「PHP2Shell」とは何か~誰でもわかる解説と、これから起こりうること(前)
- eMudhra intermediate CA compromise
- eMudhra to exit global SSL/TLS certificate business
- はてなブックマーク(jxck氏の記事のエントリーページ)