じゃあ、あとは
やっといて

――ある上司が、新人に

写真はイメージ Photo by Maria Teneva on Unsplash

10/16 03:00 / 発信国:米国 / 記者:工藤

AIにロボットの腕を任せたら人の100倍遅かった

AIの性能を測っているアメリカの会社Artificial Analysisが、10月14日、机の上のロボットアームをAIに動かさせる試験の結果を出した。試されたのは、文章を書くAIだ。カメラで机を見せ、AIに自分でプログラムを書かせて、腕を操らせる。1位はGPT-6 Astraの69.4点。GPT-6.1 Solが64.6点、Gemini 4 Argonが55.3点だった。

ただ、点数より気になる数字がある。Astraは1つの作業に平均30分かかった。費用は1作業16.36ドル、1ドル158円で約2,580円だ。人が同じ作業をやると、平均20秒。試験が基準にした時給37.81ドルで計算すると、1作業あたり約0.21ドル、約33円になる。Artificial Analysisは、一番安いモデルでも費用は人の約10倍、時間は約100倍だとしている。

課題は8つ。赤いボタンを押す、飲み物をコップに注ぐ、積み木を箱に片づける。腕はHiwonderのNexArmで、カメラが4台付いている。

なぜ、そんなに時間がかかるのか。Artificial Analysisは、失敗を3つに分けている。終わっていないのに終わったと判断する、物の動きを読み違える、つかみ損なう。物をきちんとつかめた割合は、モデルによって28〜45%だった。Astraは赤いボタンを2.2分で押したが、Claude Fable 5.1は最初の一手まで約10分考えていた。

「考える」と「動かす」を分けたら、使う量が半分になった

ここが、仕事で使う人に一番関係する話だ。

Galbot Teamという研究チームが9月29日に出した査読前論文に、同じAstraを使った実験がある。腕の動きまでAIに出させるのではなく、段取りだけをAIに考えさせて、動きはロボット用の専用プログラム(π0.5)に任せた。このハイブリッド制御で、成功率はRoboDojoという試験で48%、RoboCasa365で38.7%、DexJoCoでは10回のうち5回だった。

使った量も減った。AIに直接動かさせたときは、50件で11億3200万トークン。専用プログラムに任せた形では6億2480万で、半分ほどだ。

指示どおりに移動する課題では92%、物を探す課題では82%。考えて指示を出す仕事なら、かなりできていると読める。苦手なのは、体の側だ。歩く課題は5回試して、ゴールにたどり着けたのは0回だった。

「人型は2点未満」の出どころ

11種類の人型ロボットの課題で、どのモデルも100点中2点に届かなかった、と伝えた海外の技術系サイトもある。本当なのか。

Artificial Analysisが公開した記事に、人型ロボットの話は出てこない。中身は、机の上の腕の試験だけだ。そのサイト自身も、方法を説明するページが開けなかったと書いている。こちらで同じページを開いても、やはり出てこなかった。この2点未満は、出どころがたどれないままの数字だ。

ちなみに同じAstraでも、HumanoidBenchという別の人型の試験では、30課題のうち13でそれまでの手法を上回ったと論文は書いている。

で、仕事ではどう使うか

確かめられた数字から言えるのは、線の引き方だ。段取りを考える、手順を書く、見て判断する。この辺りはAIに任せられそうだ。物を実際に動かす部分は、いまある装置や専用のソフトに任せる。この形で、成功率は4割から5割、使うトークンは半分で済んでいた。

工場に置かれた人型ロボット
写真はイメージ Photo by Franck V. on Unsplash

人がやれば20秒で約33円。いま一番点が高いAIにロボットの腕を任せると、30分で約2,580円。「あとはやっといて」が通じるのは、まだ頭の中の仕事までだ。

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