最近、いらすとや
見かけなくない?

――ネットで、そう言われるようになった

11/2 11:08 / 発信国:日本 / 記者:工藤

いらすとやの訪問者が2割減 AIに「学習しないで」と言えるのは2027年から

最近、いらすとやのイラストを街で見かけなくなった気がしないだろうか。気のせいではないらしい。日本経済新聞は、フリー素材サイト「いらすとや」の9月のサイト利用者数が、前年の同じ月より2割減ったと伝えた。データ分析会社の推計だ。前の年に来ていた5人のうち1人が、来なくなった計算になる。押しているのは生成AIである。

いらすとやは、イラストレーターのみふねたかしさんが2012年1月に始めた。無料で使えて、権利関係がはっきりしている。街の貼り紙や店先で、よく見かけた絵だ。

ルールは2027年から、客が減ったのは9月

2割減の話が広く読まれたのと、ほぼ同じ時期に、別のニュースが出た。10月30日(米国時間)、OpenAI、Google、Microsoft、Anthropicの4社は、サイトの持ち主が「AIの学習に使わないで」と1行で伝えられる共通の仕組みに賛同した。

パソコンの画面に開いたテキストファイル
写真はイメージ Photo by NordWood Themes on Unsplash

仕組みはこうだ。サイトに置くrobots.txtというファイルに、「User-Agent: __usage_ai-training」と書き、その下に「Disallow: /」と書く。それだけで、4社すべてに学習の拒否が伝わる。IETFの作業部会での議論をもとに、Anthropicの標準化担当者ケビン・ケリーさんが出した案だ。

では、いつから効くのか。Anthropicはすでに対応を始めた。OpenAIは「今後数カ月以内」。Microsoftは2027年2月1日から。Googleは2027年。

ここで引っかかる。いらすとやの絵がAIに学ばれたのは、もう何年も前の話だ。いらすとやと組んで作られたAIモデル「AIいらすとや」も、2025年8月にサービスを終えている。運営はAI Picassoだった。終了の告知は、ウェブサイトのバナーだけだった。

なぜ、学習を止められなかったのか。日本の著作権法第30条の4が、情報解析のための利用を原則として認めている。特定の絵柄に似たものを出させる狙いの学習などは例外になり得るが、そこは一件ずつの判断だ。断る窓口そのものが、これまでなかった。

ネットの評判

はてなブックマークでは、この日経の記事に259人がブックマークを付けた。多いのは、AIの絵への違和感を言う声だ。「AI作画には手抜き・コストカットしか感じない」「AIのイラストはうっすらとした嫌悪感があって」。そんな書き込みが並ぶ。

一方で、冷めた声もある。「2割減で踏みとどまってるだけすごいよ」と健闘を評価するもの。「AIが根っこを引き抜いた。今や絶滅危惧種」と、もう手遅れだという見方。「ネット応援は話半分以下で聞いた方がいい」と、応援の声が使用に結びついていない点を突く声だ。

共通ルールは間に合ったのか、それとも遅すぎたのか。意見はここで割れている。

街のいらすとやを、1400件数えた人がいる

いらすとやの側も止まっていない。2026年5月1日には「いらすとやメーカー」が公開された。顔や服のパーツを組み合わせて、いらすとや風のキャラクターを自分で作れる。商用利用もできる。

日本の商店街の店先
写真はイメージ Photo by Vinicius Brasil on Unsplash

街の側を記録している人もいる。会社員の三浦靖雄さんは「いらすとや使用例マニア」として、街で見つけたいらすとやをGoogleマップに登録する「いらすとやマップ」を公開している。2019年1月からブログで紹介し、2024年6月の時点で1400件を超えた。休日に「今日はいらすとやを探す日」と決め、知らない街をしらみつぶしに歩くという。

「『いらすとや』には2万5000個以上の素材があるので、同じ素材を街で2回以上見かけることそのものがレアなんです」。三浦さんはそう話している。その1400件のうち、いちばん多く重なった絵は、防犯カメラのイラストだった。28件である。

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