『ゴミ以下』と
上司からハラスメント

――亡くなった厩務員の母親が、会見で

10/22 22:47 / 発信国:日本 / 記者:宮村

川崎競馬の厩務員、17日連続勤務で自死 労働時間は誰も数えていなかった

川崎競馬で競走馬の世話をしていた43歳の厩務員の男性が、2024年2月に自死した。遺族が10月22日に会見し、川崎南労働基準監督署が今年6月に労災認定したと明らかにした。亡くなる前、男性は17日間続けて働いていた。2024年1月18日から2月3日までだ。

労基署が認めた中身は重い。遺族側によると、上司にあたる調教師から1月21日に「死ね」と言われ、亡くなった当日には「厩務員はゴミ以下」と言われて、長時間叱られていた。労基署は、人格や人間性を否定するような発言があったと認め、心理的負荷を「強」と評価した。17日の連続勤務と残業の増加も、それだけで「中」とされている。

ニュースの見出しに並んだのは、この暴言だった。ただ、認定の中にはもう一行、ほとんど見出しにならなかった記述がある。「本事業場においては労働時間が把握されていない」。

誰も、時間を数えていなかった

記録がないので、労基署は男性のスマートフォンに一部残っていたGoogleマップのタイムラインなどを手がかりに、勤務の実態を調べた。そこから出てきた始業時刻は、午前1時30分ごろ。時間外労働は、月42時間46分から66時間1分に増えていた。

なぜ、記録がなかったのか。厩務員を雇っているのは、競馬場でも競馬の組合でもなく、調教師その人だ。調教師は個人事業主として厩舎を構え、厩務員を雇う。一方、厩務員の募集やレースの日程を決めるのは、川崎競馬を運営する神奈川県川崎競馬組合のほうだ。組合は、レースで入着したときなどに厩務員へ手当を払っているが、賃金そのものは調教師から出る。時間を管理する責任は、調教師個人にあった。

法律が、厩務員を「畜産業」にしている

もう一つ、競馬を見ている側には見えない仕組みがある。厩務員は労働基準法41条によって「畜産業で働く人」として扱われ、労働時間・休憩・休日の規定が適用されない。厚生労働省は、厩舎で主に競走馬の飼育や調教が行われている場合は「畜産の事業に該当するものとして取り扱っている」と答えている。

1日8時間、週40時間、週に1日の休み。その決まりが、そもそも厩務員には掛かっていない。休日の決まりが外れている以上、17日の連続勤務それ自体を、この法律で止めることはできない。

遺族側の代理人の笠置裕亮弁護士は、会見でこう話した。「レースにも付き添い、労働時間の裁量は特にない働き方。1次産業の従事者と同一視していいのか」。そのうえで、41条の対象であっても、客観的な方法で労働時間を把握する義務はあると指摘した。

調教師側は否定している。代理人は弁護士ドットコムニュースの取材に「ハラスメントに当たるようなことはしていないという認識です」と答え、詳細を確認中としてそれ以上は控えた。神奈川県川崎競馬組合は「事実であれば、適正に対処していきたい」と答えている。遺族から情報を得ていないとも説明した。

会見した母親は74歳。息子の髪が2年ほど前から目に見えて抜けていったと話し、こう続けた。「厩務員の存在があまりにも軽いのではないか」。遺族側は、調教師と競馬組合に職場環境の改善を求めるつもりだ。

厩務員の労働時間に、1日8時間という上限は、いまも掛かっていない。

次の視点

43万円の新型冷蔵庫、錆びて見える

Xで話題のアクア「AQR-DUX51B」

ジャンルを変えて「おもしろ」から。いま読まれています アクアの新型冷蔵庫が錆びて見えるのは、わざとだった

40年仕入れてるけど、
こんな値は初めて

――エドノフーズの江戸野誠一郎社長

ジャンルを変えて「政治経済」から。いま読まれています 銚子のサバ加工、約2割が倒産や廃業 国産に替える道はあるのか

今からサイト、閉めます。
朝まで

――案内が出たのは、15時50分

ジャンルを変えて「セキュリティ」から。いま読まれています BASEが15時間超の全停止 注文も止まったが、補償の話はまだ出ていない
出典

いま読まれている記事

  1. 1PHP緊急修正でサービス続々停止 さくらが「数秒程度」で済むのはなぜ
  2. 2ゴンチャ「秋焙煎ほうじ茶」黒糖ミルクティーのカロリーは?
  3. 3徳永英明、喉の不調から復帰 倉敷公演を無事に終える 中止4公演はどうなる?
  4. 4台風30号、石垣の避難所は物資に限り 市が観光客に「食料は持参」
  5. 5玉森裕太、1か月で2度のイタリア 目的はまだ内緒?!
← トップへ戻る