地元のほうが、
君を必要としてる

――サウジの王族が、OpenAIの技術者に

10/20 11:32 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

OpenAI盗聴疑惑 元社員にサウジ王族の後ろ盾と米検察が主張

OpenAIの元エンジニア、アブドゥルラフマン・アルフォザン(35)が、役員の使う会議室に録音装置を仕込んだとして逮捕された事件。10月19日に米検察が出した法廷文書で、新しい話が出た。この人、サウジアラビアの王族と長く連絡を取り合っていて、王族は「OpenAIを辞めろ」と何度も促していたという。

「サウジはアメリカよりあなたを必要としている」

やりとりはWhatsAppで、2025年から2026年にかけて続いた。王族が送った言葉のひとつは「Saudi needs you more then [sic] the US!」(原文ママ。サウジはアメリカよりあなたを必要としている)。返事は「100」。ただ、会社の株がもらえる時期までは残ると答えていたらしい。

逮捕のあと、妻と幼い息子がサウジへ帰る片道の航空券代を払ったのは、サウジ軍の関係者だった。保釈の保証金は、ロサンゼルスのサウジ総領事館が全額を引き受けると申し出た。アレックス・ツェー判事はこれを「問題がある」とし、19日、拘束を続けると決めた。「いったん出国したら、連れ戻す手段はない」

装置は、通販で2,200円の基板

見つかったのは9月30日。サンフランシスコのオフィスで、テレビ裏のUSB差込口に、トイレットペーパーで包んだ小さな板が差してあった。「Seeed XIAO ESP32-S3 Sense」という親指ほどの開発ボードだ。9月24日から30日には、彼と妻のチャットボットの履歴に「連続して録音する装置の作り方」「SDカードの暗号化」を調べた跡が残っていた。

分かっていないことも多い。なぜ仕込んだのか、検察の文書にも書かれていない。起訴はされておらず、罪状への答弁もしていない。罪は会話の傍受1件だけだ。サウジ政府はロイターの取材に答えていない。弁護人のウィリアム・パーニク氏は、OpenAIに問い詰められたあとも8〜10日間アメリカに残っていた点を挙げた。「本当に外国政府の手先なら、なぜすぐに出国しなかったのか」

ネットの評判

Hacker Newsで目立つのは、手口の雑さへのツッコミだ。「あまり賢いスパイではない」「昔のスパイはもっと手間をかけていた」。いちばん支持を集めたのは、LLMに打ち込んだ言葉が全部記録され、証拠として取り出せると気づく人が増えるだろう、という書き込みだった。少数だが「国家の工作というより、内部告発か個人の事情ではないか」という見方もある。笑って済ませる側と、国同士の情報戦を疑う側で、読み方が割れている。

次に分かるのは、11月6日の予備審問だ。

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