うちも急いで
AIで検査しないとまずい?
――無料で使える、別のツールがある
写真はイメージ Photo by Arnold Francisca on Unsplash
日本企業20社を狙ったAI「ARTEX」、自社の検査に使うのは待った方がいい
GMOサイバーセキュリティ byイエラエが10月19日、日本企業への不正アクセスの攻撃元にAIが使われていたと発表した。AIが自分で侵入テストをやる自律型ペネトレーションテストのツール「ARTEX」だ。標的になっていた日本企業は約20社で、うち8社は2026年9〜10月に情報漏えいを公表していた。
「うちも急いでAIで検査しないと」と思った人は多いはずだ。そこへ逆を言った人がいる。SaaSを運営するYusuke Kawabataさんが翌20日の夜、noteに「あなたはARTEX使わなくていいです」と書いた。
攻撃に使われた道具を、そのまま自社に持ち込むな
理由は2つ。1つ目は、ARTEXの本家がもうないことだ。作者は10月8日に「ARTEX 项目将不再更新,并转为闭源」(訳:ARTEXの更新はもうしない、クローズドソースにする)と表明し、GitHubのページはその後見られなくなった。この表明は、韓国の金融機関が9月末に攻撃され、CrowdStrikeが10月7日に攻撃者の設備から「Claude Codeのセッション履歴やARTEXの設定ファイル」を見つけたと報告した直後だった。残っているのは、閉じる前に写されたフォークだけ。Kawabataさんは、そこにウイルスやマルウェアが混ざっている危険があると書いている。
2つ目は、攻撃力が高すぎることだ。自社をテストするつもりで「うっかり自社テストで全部ハッキング」したり、つながっている他社のシステムまで攻撃を広げたりして、自分が加害者になる危険があるという。
騒ぎは小さくない。GMOは、ARTEXを使っていた攻撃基盤のほかに、AIで日本企業を狙う攻撃基盤を6台見つけた。狙われた業種は攻撃元ごとに分かれていて、デジタルギフト・小売り流通、教育、保険・金融、EC・メディア・物流などだという。マクニカの集計では、2026年に不正アクセスで漏れた可能性のある個人情報はのべ1億6,500万人分余り。日本の人口より多い。
ただ、評価は単純ではない。サイバーセキュリティ総研は、何を調べ、次に何を試すかの判断までAIがやる点を質的な転換と見る。一方で、狙われた入口は管理画面や.git、.env、既知の脆弱性といった「典型的」なもので、変わったのは「速さと量、人手のかからなさ」だとも書いている。
勧められているのは、中を見せる検査
では、どうするのか。Kawabataさんが勧めるのはホワイトボックステストだ。「外から手探りで調べる工程を減らし、問題がありそうな箇所の検証に時間とトークンコストを使える」のが利点だという。
挙げているツールは「Shannon」。Keygraphが公開しているAIペンテスターで、ソースコードを読んだうえで実際に攻撃を仕掛け、通ったものだけを脆弱性として報告する。で、いくらかかるのか。無料のOSS版があり、払うのはAIの利用料だけだ。有料のPro版は開発者1人あたり月50ドル(1ドル150円として約7,500円)。動かすにはDockerとNode.js 18以上、それにAnthropicやOpenAIなどのAPIキーが要る。Trivyというツールの併用も勧めている。
やることとして挙がっているのは、社内システムの設定確認、自社サービスの脆弱性検査、連携先サービスの安全性確認の3つ。どれも、外から攻める話ではない。
ネットの評判
はてなブックマークでは、GMOの発表を伝えたITmedia NEWSの記事に18人、Kawabataさんのnoteに30人がブックマークを付けている(10月21日時点)。ITmediaの記事には「元はシステムの脆弱性を見つけるためのツールだったが悪用されているか」という声や、「日本の事案で使われた具体的なAIモデルは明示されていない」と、分からない部分を指す声が上がった。noteに付いたコメントは1件で、記事の要点をまとめたものだった。
ARTEXがGitHubに出たのは2026年7月26日。本家は3か月もたたずに閉じた。それでも、閉じる前に写されたフォークは、10月20日時点で1万2,000件を超えて残っている。
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――兵庫県で、1万3000筆の署名に出た声
- 相次ぐ不正アクセスの攻撃元の多くがAIであることを確認(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ)
- あなたの会社は、慌てて脆弱性検査にARTEXを使わなくていい|Yusuke Kawabata(SaaS運営)
- AIペネトレーションテストツール「ARTEX」についてまとめてみた - piyolog
- GMO系、日本企業狙う不正アクセスの攻撃元にAIツール「ARTEX」確認 標的は約20社(ビジネス+IT)
- 相次ぐ不正アクセスの攻撃元に「AI」――GMOイエラエの調査が示す意味と、企業が取るべき備え(サイバーセキュリティ総研)
- KeygraphHQ/shannon(GitHub)
- 不正アクセスによる個人情報漏えい のべ1億6500万人分余に(NHK)
- はてなブックマーク(ITmedia NEWS「日本企業狙う不正アクセスにAI」)
- はてなブックマーク(note「あなたの会社は、慌てて脆弱性検査にARTEXを使わなくていい」)
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