人の手が入っていないから、
守る価値がある
――森を守る側が、長く言ってきたこと
アマゾンの森の下に土塁432か所 「手つかずの原生林」じゃなかったの?
ヘルシンキ大学のマルティ・パルシネン名誉教授らが7月29日、アマゾンの森を上からレーザーで測った結果をネイチャー誌に出した。ブラジルのアクレ州と南部アマゾナス州、4497平方キロ。見つかったのは、人が掘って盛った土の構造物432か所。うち396か所は、誰も知らなかったものだ。
それまで分かっていたのは36か所だけだった。しかもその36か所のほとんどは、森が切り開かれて形が見えるようになった場所で見つかっている。森が隠していたものを、LiDARが透かして見た、ということだ。
この構造物はジオグリフと呼ばれる。幅9〜15メートルの溝と、高さ3メートルほどの土手。大きいものは50ヘクタールある。金属の道具も、荷を引く家畜もなしに作られた。
作ったのは紀元前600年から西暦850年ごろの人たちで、研究チームは「アキリー(Aquiry)」と呼ぶ。18万3000平方キロの範囲に2万4000〜3万か所の遺構がありそうで、最盛期(西暦100〜300年)の人口は125万〜300万人と見ている。
「ずっと人が住んでいた土地だ」という側の言い分
アマゾンは長いこと「手つかずの原生林」として守られてきた。人の手が入っていないから価値がある、という理由づけだ。その土台が、少し揺れる。
パルシネン教授は、アクレ州を「長いあいだ手つかずの熱帯雨林と見なされてきた地域」と話す。2002年に上空からその土塁と、遺構をつなぐ古い道を見たときのことを、こう振り返っている。「私の理解を完全に変え、それまでの思い込みがいかに間違っていたかを気づかせてくれた」(訳)
一方、先住民の側は前から違うことを言ってきた。ヘルシンキ大学の発表は、先住民に伝わる口頭伝承を引いている。それによると、この中心地は共同体どうしの関係を強めるために作られ、集会や政治の決定、首長が気前のよさを見せる場でもあった。儀礼では踊りや音楽、ごちそう、球技があった。空っぽの自然ではなく、人が集まる場所だったと語り継がれていた。
同じ発表によれば、周りの森にはブラジルナッツやモモヤシなど実のなる木が管理されて生えていた。トウモロコシやカボチャ、キャッサバの畑を作るために、竹林が焼かれてもいた。いま「原生林」と呼ばれる森の木の並びは、人が選んで残した結果かもしれない、ということだ。
守る理由も、言い換えが起きている。サンパウロ大学の考古学者エドゥアルド・ネベス教授は、アマゾンの遺跡を国の記念物として登録することで森を守り、地元の人がそこに住み続けられるようにしたいと主張している。「森は私たちのピラミッドだ」(訳)。手つかずだから守る、ではなく、人が住んできたから守る、という理由づけだ。
ただ、これは土地の話でもある。モンガベイの2024年の記事で、ブラジル政府の担当者レオナルド・トロイアーノは、土地の使い方をめぐる「戦争」が現実にはあると話している。大豆の畑を広げたい側と、先住民の過去を示す証拠がぶつかる。
ネットの評判
Yahoo!ニュースのコメント欄には26件が付いた。いちばん「なるほど」を集めた(115件)のは、見出しへの指摘だった。「まるでひとつの巨大な『300万人都市』があったかのようなタイトル」だが、中身は広い地域全体で最大300万人の話だ、という内容だ。ほかには「ロマンあるなあ」と遺跡を面白がる声や、調べたのはアマゾン全体の3%に満たないのだから、もっと巨大な遺構が眠っているのではという声もあった。
分からないことは、まだ多い
専門家の見方も一つではない。ドイツ考古学研究所のハイコ・プリュマースはサイエンティフィック・アメリカンに、近くにある構造物を別々に数えたのか、一つにまとめたのかがはっきりしないと話している。遺跡の数が多いのは人口が多かったからではなく、アキリーの人たちが何度も引っ越した結果かもしれない、とも言う。
レーザーで分かるのは地面の形だけだ。いつ、誰が、何のために作ったかは、掘らないと決まらない。アキリーが西暦850〜1000年ごろに消えた理由も、分かっていない。森を守る動きのほうは、アクレ州のジオグリフ1か所が2018年にIPHANの文化財に登録され、世界遺産の候補の一覧にも載っている。
今回測ったのは、アマゾン全体の3%に満たない面積だ。
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- 《ブラジル》アマゾン密林に300万人都市の痕跡=「手つかずの原生林」神話の崩壊=LiDAR探査が暴いた古代文明(ブラジル日報/Yahoo!ニュース)
- 同記事のコメント欄
- An ancient civilization of millions once flourished in the Amazon(ヘルシンキ大学 公式発表)
- 考古学:空中イメージングによってアマゾンの文明の規模が明らかに(Nature 日本語プレスハイライト)
- 'Completely Transformed My Understanding': Scientists Uncover Hundreds of Hidden Structures Beneath The Amazon(ScienceAlert)
- Hundreds of ancient, never-before-seen 'earthworks' discovered in the Amazon(Scientific American)
- 'Simply astonishing': Experts just found a massive lost civilisation hiding in the Amazon(BBC Science Focus)
- Sobrevoos no Acre revelam 396 geoglifos sob a floresta(Revista Amazônia)
- Geoglifos na Amazônia revelam civilização que pode ter reunido até 3 milhões de habitantes(Gazeta do Povo)
- New conservation model calls for protecting Amazon for its archaeological riches(Mongabay、2024年10月)
- アマゾンの地下に、約4500平方キロに広がる“巨大文明の痕跡”を確認(ねとらぼ)
- アマゾンの熱帯雨林の下にはすでに滅んだ古代文明による数万個の幾何学的な土塁が存在することが判明(ライブドアニュース/GIGAZINE)
- Acre geoglyphs(英語版ウィキペディア)