741億円を321万曲で割ると、2万3000円

JASRAC上半期、過去最高の中身

写真はイメージ Photo by Adi Goldstein on Unsplash

10/23 15:56 / 発信国:日本 / 記者:工藤

JASRAC上半期756億円で過去最高 伸びたのは配信 でも作る人の手取りは?!

2026年10月21日、JASRAC(日本音楽著作権協会)が都内で記者会見を開き、2026年度上半期(4〜9月)の音楽使用料の徴収額が756億円だったと発表した。前の年の同じ時期より20億5000万円、2.8%増えて、上半期としては過去最高。オリコンとスポーツ報知が同じ日に伝えた。

では、どこで増えたのか。スポーツ報知によると、伸びのほとんどは配信だった。インタラクティブ配信が26億2000万円増。演奏等の6億5000万円増を大きく上回る。

配信が4割強、次がライブとカラオケ

オリコンが伝えた内訳はこうだ。インタラクティブ配信は327億円で8.7%増。756億円の4割強になる。演奏等は156億9000万円で4.4%増。そのうちコンサートやライブが74億円、カラオケが62億5000万円で、どちらも5%ほど増えた。

中戸川直史理事長は会見で、「この数字が表すものというのは、創作の価値、そして音楽の価値、それを社会が認めている指標の一つである」と話した。通期では1500億円台半ばを見込むという。

過去最高は、作る人の手取りも増えたという話か

分配額も741億4000万円で2.8%増え、対象は約321万曲だった。単純に割ると、1曲あたり平均で約2万3000円になる。あくまで割り算の平均で、曲ごとの差はとても大きい。

しかも、権利者に届く前に管理手数料が引かれる。JASRACは2026年2月3日、2025年度の収入が予算を上回る見込みだとして、2026年3月の分配期に限り、インタラクティブ配信など6つの区分の手数料率を下げると発表している。

配信が伸びても還元が足りない、という声は前からある。日経xTECHの2023年6月6日の記事では、当時の伊澤一雅理事長が、クリエイターから「対価の還元が十分とはいえないのではないか」という声が出ていると説明していた。中戸川理事長も今回、ネット市場の成長がそのままクリエイターへの還元につながるよう努めると話している。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄では、還元を求める書き込みが目立つ。「団体よりも、ちゃんと実演家にもっと還元されるようにした方がいい。」といった声だ。一方で「JASRACは音楽業界が苦しい中でも工夫して稼いでるのは立派だと思います」と、集める側を評価する書き込みもある。5ちゃんねるのニュース板にもスレッドが立ったが、40件ほどで大きくは広がっていない。ネットの声は、分配の実態を示す根拠にはならない。

JASRACは、生成AIで作られた曲を見分ける技術の検証にも着手した。生成AIだけで作った作品は管理しない方針なので、756億円の中にその分は入っていない。配信が伸びるほど、分配の対象になる曲も増える。過去最高という数字は、音楽が聴かれた量の記録ではあっても、作る人ひとりずつの手取りの記録とは、どうやら別物のようだ。

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