校歌、レゲエに
変えちゃダメかな?
――甲斐三樹彦理事長が、友人の歌手に
入学者0人が2年続いた和歌山南陵高校、レゲエ校歌のあと82人が来た
和歌山県日高川町の和歌山南陵高校に、2026年4月、82人が入学した。2023年度と2024年度は、入学者がどちらも0人だった学校だ。2年前の夏、校歌をレゲエに変えて話題になったのが、ここである。校歌のおかげ、でいいのだろうか。
校歌が変わったのは2024年6月6日。作詞は歌手の横川翔とレゲエアーティストのWARSAN、作曲はINFINITY16。曲名は「一歩前へ」で、冒頭は「イェイイェイイェ〜イ」だ。
なぜレゲエなのか。当時の理事長だった甲斐三樹彦は、集英社オンラインに「昔から横川翔さんと友人で、7年前くらいから『南陵高校の校歌をお願いするね』と約束していました」と話している。そこにWARSANとINFINITY16が賛同し、3人が無償で作った。狙いについては、学校側がITmedia NEWSに答えている。「誰もが口ずさむことのできる校歌にしたかった」。お披露目は同じ6月6日の夕方、体育館でのライブだった。終わったあとには餅まきをした。
全校18人で歌っていた
広まったのは翌月だ。2024年7月15日、夏の高校野球和歌山大会で選手が歌い、Xで一気に回った。
ただ、歌っていた側の事情は重い。当時の全校生徒は18人。野球部10人、バスケットボール部6人、吹奏楽部2人で、1年生と2年生がいなかった。学校法人南陵学園が、所管する静岡県から措置命令を受け、2022年12月27日から生徒を募れなくなっていた。
毎月の赤字は1500万円、滞納金は約2億7000万円。生徒1人あたり、月に80万円を超える赤字だ。なぜそこまで? 前の経営陣の下で給与の未払いや公共料金の滞納、学校の金を自分の会社に回していたことが表面化し、2022年5月には教職員がストライキをしている。
7月23日の智弁和歌山戦は0-7、点差がついて7回で打ち切り。校歌を作った3人は、この試合に応援へ来ていた。INFINITY16は東京から始発で駆けつけ、「何物にも代えがたい感動をみんなにもらいました」。WARSANは「学校の生徒が18人なんて、ありえない。みんなの背中を押せたかな」と話した。
ネットの評判
音源が出回ると、Xを中心に「これが令和の校歌か!」「めちゃくちゃ爽やかなレゲエ」といった声が並んだ(RBB TODAY)。けなす声より、面白がる声と曲そのものをほめる声が目立つ。校歌を作ったWARSANは、SNSで広まったことで選手の「士気も高まった」と中日スポーツに話している。
0人、0人、13人、82人
で、校歌はどれだけ効いたのか。
入学者は2023年度0人、2024年度0人、2025年度13人、2026年度82人。全校生徒は昨年度末の21人から110人になった。部活は3つから6つへ。日高地方で初めてのラグビー部もでき、部員12人のうち2人はフィジーからの留学生だ(日高新報)。
ここで引っかかる。校歌ができたのは2024年6月、話題の山は7月。それでも2024年度の入学者は0人のままだ。生徒を取れるようになったのは、静岡県が措置命令を解いた2024年11月29日より後。校歌がいちばん回っていた夏、この学校は1人も入学させられなかった。
そして、校歌を頼んだ甲斐三樹彦は、82人の入学式を見ていない。2026年3月9日、和歌山県印南町の漁港で、運転していた車が海に転落した。54歳。紀州新聞によると、死因は溺水だった。
入学式は4月5日。新しい理事長の井野元裕は、新入生に「心配されたと思いますが、大丈夫です」と話した。入学したばかりの82人が、国歌のあとにレゲエ校歌を歌った。
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- 一歩前へ(WARSAN 公式サイト)
- 和歌山南陵高等学校(Wikipedia日本語版)