もっと小さい箱なかったのかな?
――その不満は、2.2億円の森林支援とつながるのか
Amazonが日本の森に2.2億円を出すのは、段ボールの罪滅ぼしではない
Amazonが、日本の森の手入れに5年で2億2,000万円を出す。2026年10月14日の発表で、全国20か所、計100ヘクタールが対象だ。千葉、群馬、滋賀、大阪の5か所では、すでに作業が始まっている。
使うのは、Amazonの環境基金Right Now Climate Fund。日本でこの基金が動くのは初めてだ。
で、この手の発表で多くの人が思い出すのは、森ではなく箱だろう。小さなイヤホンが、やけに大きな段ボールで届いたときのあれだ。森に金を出す前に、まず箱を小さくしてくれ。この森林支援は、箱の罪滅ぼしなのか。
あの箱は、日本の森から来ているのか
先に書くと、そこは噛み合っていない。
段ボールの原料は、木ではなく古紙が中心だ。全国段ボール工業組合連合会によると、段ボールなどに使う厚い紙(板紙)全体で、古紙の利用率は約93%。段ボールの回収率も90%を超えている。届いた箱の大半は、だれかが前に出した箱から作られている。
Amazon自身も、梱包は減らしてきたと言っている。2023年11月の発表では、2015年から世界全体で、1回の出荷あたりの梱包の重さを平均41%減らしたという。同じ発表の調査(2023年10月、日本在住の18歳以上2,000人)では、7割以上(71%)が、配送用の梱包なしで商品のパッケージのまま届いてもかまわないと答えた。
この数字はAmazon側が出したものだ。どう受け取るかは読む人次第だろう。ただ、「Amazonが日本の森を切って箱にしている」という図式は、事実としては出てこない。
手入れされないまま、30年と50年
では、Amazonが手を入れるのは、どんな森なのか。先に動き出した5か所に、答えがある。
滋賀県長浜市の「(仮称)琵琶湖淀川源流・余呉の森」は、30年以上だれも管理していなかった。長浜市と米原市にまたがる「生き物にぎわいの森」は、50年近く放置された里山だ。群馬県桐生市の5.9ヘクタールは、約30度の急な斜面。シカの食害で枯れた広葉樹を植え直し、傷んだスギを切る。川のそばに落葉樹を植えて森に光を入れ、虫を増やす。渓流の魚が暮らしやすくなるらしい。
日本の森の困りごとは、切りすぎではない。林野庁の2017年度の森林・林業白書によると、日本の森林は2,508万ヘクタールで、国土の約3分の2。うち1,029万ヘクタールが人工林だ。約8割の市町村が、管内の人工林は手入れが足りないと答えている。
だから、罪滅ぼしという言い方は当たらない。手が足りなくなった森の後始末に、企業の金が回ってきた話だ。
1ヘクタールに、1年で44万円
では、いくらなのか。2億2,000万円を5年で割ると、1年に4,400万円。100ヘクタールで割れば、1ヘクタールに1年で44万円ほどだ。100ヘクタールは、日本の森林全体の25万分の1にあたる。
急な斜面を実際に歩くのは、Amazonの社員ではない。組むのは国土緑化推進機構で、現場に入るのは桐生川源流フォレストデザインクラブなどの地元の団体だ。5年で約2,000人の市民ボランティアが加わり、環境教育なども合わせて約7万2,000人が森に触れる計画だ。森の回復ぐあいは、バイオームという会社のAIで測る。
区切りは2030年。日本が掲げる30by30の年と同じだ。50年近く放置されていた山に、5年だけ人の手が入る。そのあとだれが手入れを続けるのかは、発表には書かれていない。
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