自分が使えない席、気にする?
- 女子学生だけが使える自習室の動画が、SNSで大きく広がりました。投稿したのは近畿大学の公式アカウントで、表示回数は2330万回を超え、男子学生への差別ではないかという批判が集まりました。大学は、2017年の設置以来、学内から不公平を訴える意見やトラブルはなかったと説明しています。
- 「同じお金払って、入れない席がある」
- 「夜に安心して座れる席がほしい」
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 同じ料金派 の言い分
ジムの月会費を払った帰り、女性専用のストレッチエリアの前を通ります。中はいつも空いていて、こちら側の器具は順番待ちです。声に出して文句を言ったことはありません。ただ、同じ金額を引き落とされているのに、使える場所だけが違うという事実は、ずっと頭の片隅に残っています。
子どものころ、冷蔵庫に残った最後のプリンを、母が兄にだけ渡したことがあります。理由を聞いたら、お兄ちゃんは明日早いからと言われました。納得はしませんでしたが、理由を言われたぶん、まだ飲み込めました。いま引っかかるのは、だれが線を引いたのか、なぜそこに引いたのかを説明しないまま、線だけが残っていることです。
安心して座りたいという気持ちは、わたしにも分かります。夜の電車では、わたしも壁際に立ちます。それでも、払う額が同じなら入れる場所も同じ、という考えは譲りたくありません。使っている人が喜んでいるからいい、で終わらせてしまえるなら、これから先どんな線でも引けてしまう。わたしが怖いのは、そこです。
あなたが味方した 安心優先派 の言い分
深夜まで開いている自習スペースを、学生のころからずっと使ってきました。終電を気にせず机に向かえる場所は、わたしにはそこしかありませんでした。荷物を置いたまま伏せて仮眠をとり、外が明るくなってから帰ります。その部屋があるかないかで、試験前の数日がまるごと変わります。
外で勉強するのをやめたきっかけがあります。深夜のファミレスで参考書を広げていたら、隣の席の人に延々と話しかけられて、その日はほとんど進みませんでした。断っても相手が座ったままだと、こちらが店を出るしかありません。勉強の中身ではなく、だれが隣に座るかで集中できるかどうかが決まる夜を重ねると、安心はぜいたくではなく、机や椅子と同じ設備だと思うようになります。
不公平だと言う人に、意地悪をしたいわけではありません。ただ、わたしたちは自分の安全を削って勉強の時間を作ってきました。空いている席を見て不公平と言う前に、その部屋がなかったら、夜の時間がどこへ消えるのかを想像してほしい。わたしが言いたいのは、それだけです。
どちらにも呼ばれない立場 毎日その建物に通う学生
騒ぎを知ったのはSNSでした。だれでも使える部屋が同じ建物にあるので、席が足りないと感じたことはありません。遠くで怒っている人と、毎晩ここで寝落ちしている自分のあいだに、話がまるでつながっていない気がします。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →近大の女性専用自習室、怒ったのは学外だった 大学「9年間、不満の声なし」