今年の花粉、
多いらしい
――春になると、だれかが言う
写真はイメージ Photo by Eva Balogh on Unsplash
地球でいちばん重い生き物はトウヒ 日本のスギは人類全体の2倍
地球でいちばん重い生き物は何か。それを調べたブログ記事が9月27日に公開され、技術者がよく見る掲示板「ハッカー・ニュース」で10月6日に上位に入った。1位は、カナダに多い針葉樹のクロトウヒ。カナダ国内だけで110億トンを超えるという。
人類はどうなのか。世界の人間を全員合わせて、約3億5000万トンである。クロトウヒの30分の1ほどだ。2位はロシアのグイマツ(ダフリアカラマツ)で84億トン超。野生動物でいちばん重いナンキョクオキアミが3億7900万トン、家畜のウシが6億5000万トンだった。
日本のスギは、7億7000万トン
では、日本のスギはどうか。同じ尺度で数えてみる。
林野庁の「森林資源の現況」(令和4年3月31日現在)では、人工林スギの蓄積は20億3608万立方メートル。スギ材の気乾比重は0.38だ。掛けると、約7億7000万トンになる。
人類全員の約2.2倍。家畜のウシ全体よりも重い。日本の人口は1億2265万人(2026年9月1日現在)だから、ひとりあたり約6.3トンのスギが山に立っていることになる。
なぜ、そんなに多いのか。林野庁の説明では、戦後に木材が足りなくなったとき、成長が早くて建築用材に向くスギが好んで植えられた。いまは人工林約1000万ヘクタールのうち、約441万ヘクタールがスギ林である。林野庁は、花粉の出どころになっているスギ人工林を令和15年度までに約2割減らし、30年後には花粉の発生量を半分にすることを目指している。農林水産省は、それでもスギを植え替える理由を動画で説明している。
ロシアの森は、日本の15倍
それでも、クロトウヒの110億トンには遠い。日本のスギは、その14分の1ほどだ。
差は、森の広さから来ている。ブログによると、ロシアの森林の蓄積は822億立方メートル。日本の森林全体は55億6000万立方メートルだから、約15倍ある。しかもロシアの森林面積の35.6%がカラマツ類で、ほぼ1種が広大な土地を埋めている。日本のカラマツの人工林は蓄積2億2674万立方メートル、気乾比重0.50で換算すると約1億1300万トン。ロシアのグイマツの70分の1ほどしかない。
もっと大きな桁の話もある。2018年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に載った論文では、地球の生物が持つ炭素は合計で約5500億トン。そのうち4500億トンが植物で、動物は全部合わせても20億トンしかない。200倍以上の開きだ。ブログの計算では、クロトウヒ1種が持つ炭素だけで、全動物の約3倍になる。
ネットの評判
ハッカー・ニュースのスレッドには、2026年10月7日の時点で212点・146件のコメントが付いていた。多かったのは、数え方への疑問だ。木の幹は死んだ細胞なのに、重さに入れていいのかという指摘が出た。人の重さに骨を入れるなら木も入れていいはずだ、と返す声もあった。
見落としの指摘も並んだ。クジラが入っていない、深海にいるハダカイワシの仲間こそ最大かもしれない、細菌や古細菌は種ごとに数えられていない、といった具合である。人類の影響の大きさに話が向かう書き込みもあり、ニワトリが鳥類全体の重さの3分の2以上を占めるという例が挙がっていた。
ブログの筆者は、こう結んでいる。「人類はいまも生物圏を支配しているかもしれないが、少なくともこの一つの尺度では、トウヒとカラマツが圧倒的に先を行っている」。
日本人ひとりあたり、約6.3トンのスギが山に立っている。体重60キロの人なら、100人分の重さだ。
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- What's Earth's dominant species by mass?(Signore Galilei)
- What's Earth's dominant species by mass?(Hacker Newsのスレッド)
- The biomass distribution on Earth(Bar-On, Phillips, Milo、PNAS 2018/PMC版)
- 樹種別齢級別蓄積 人工林スギ(林野庁「森林資源の現況」令和4年3月31日現在)
- 樹種別齢級別蓄積 人工林(同上)
- 樹種別齢級別蓄積 人工林カラマツ(同上)
- 「森林資源の現況」について(林野庁)
- 花粉発生源対策Q&A(林野庁)
- スギ・ヒノキ林に関するデータ(林野庁)
- 樹種別の気乾密度の値の例(北海道。木材工業ハンドブック改訂4版・森林総合研究所監修より)
- 人口推計(総務省統計局)
- 【農林水産省】なぜ、スギを植えているの?(BUZZMAFF ばずまふ・農林水産省)