ずっと、旧西独の政治家に
見下されてきた
――旧東ドイツの町の住民が
写真はイメージ Photo by Joe Dudeck on Unsplash
ドイツ東部の「2級市民」 AfDが39%取った町の不満は、移民だけじゃない
ドイツ東部の町アイゼンヒュッテンシュタットで、住民が読売新聞の取材にこう話した。「ずっと旧西独の政治家に見下されてきた」「自分は2級市民だ」。移民の話ではない。見下された、という話だ。
この町は、旧東ドイツが国を挙げて作った製鉄の町だ。1988年には5万3048人が住んでいた。いまは2万4791人(2025年12月末)。半分に減った。AfDは、2025年2月の連邦議会選で、この町の比例票の39.60%を取った。2024年の州議会選でも36.5%で、前回より6.5ポイント増えている。
欧州の右派の伸びは、普通「反移民」で説明される。ドイツの連邦政治教育センターも、9月のザクセン・アンハルト州議会選の争点に移民、教育、経済の弱さを挙げた。でも、町で出てきた言葉は、そのどれでもなかった。
給料は8割、決める席は12%
まず、お金の話。ドイツ連邦統計庁によると、2024年のフルタイムの平均月収は、旧西独地域(ベルリンを含む)が4810ユーロ(約85万円)、旧東独5州が3973ユーロ(約70万円)。西が約21%高い。1991年は西が1987ユーロ(約35万円)、東が924ユーロ(約16万円)だった。差は、確かに縮んだ。
縮んでいないものもある。ライプツィヒ大、イェーナ大、ツィッタウ/ゲルリッツ応用科学大が毎年出している「エリート監視」という調査だ。政治、行政、経済、司法などのトップの座を数えている。2026年版でも、旧東ドイツ出身者の割合は12.1%。人口の約19%を占めるのに、調査が始まって以来、12%台を超えたことがない。2025年版だと、司法は2.7%、経済は4.0%だった。
給料は8割まで追いついた。決める席は、いまも12%。「見下されてきた」は、大体この話だと読める。
では、そう感じている人はどれくらいいるのか。ここは数字が割れる。読売新聞は、昨年9月に公共放送MDRが東部3州で行った世論調査で、2級市民だと答えた住民が81%に上ったと伝えた。一方、2023年8月にARDの依頼でInfratest dimapが行った全国調査では、「自分は2級市民だと感じる」が当てはまるとした旧東独の有権者は4割だった。8割なのか、4割なのか。MDRの調査そのものは、本誌が探した範囲では原典を確かめられなかった。
ネットの評判
Yahoo!ニュースのコメント欄には、51件の書き込みが付いた。多いのは、統計の上で経済が好調でも、地域の衰退や軽蔑を感じた国民の感情のほうが政治を大きく動かす、という見方だ。壁の崩壊は和平のメッセージとされたが、実は西側が安い労働力を求めただけではないか、と疑う声もある。東西の統合を急ぎすぎたせいで、互いの軽蔑が今も続いている、という指摘も目立つ。
一方で、右派の台頭そのものを警戒する書き込みもある。右派は結局、支配層の道具にすぎないという言い分だ。難民への支援が市民の年金より高い、という批判も出ている。
で、だれが損をするのか
ドイツ経済研究所(DIW)のマルセル・フラッチャー所長は、7月24日の試算で、AfDの政策が実現した場合のザクセン・アンハルト州を数字にした。1人あたりの使えるお金が年1600ユーロ(約28万円)減り、賃金は月200ユーロ(約3万5000円)下がる。雇用は約1万人減る。産業の弱い地域ほど打撃が大きく、そうした地域ほどAfDが強い。DIWはこれを「AfDのパラドックス」と呼ぶ。
9月6日の州議会選で、AfDは43.8%を取った。83議席のうち39。過半数に3つ足りない。CDU、SPD、緑の党、左翼党は、AfDとの連立を断っている。
選挙から1か月半たったが、ザクセン・アンハルト州の首相は、まだ決まっていない。
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――兵庫県で、1万3000筆の署名に出た声
- 読売新聞オンライン(Yahoo!ニュース)「ずっと旧西独の政治家に見下されてきた」「自分は2級市民だ」、旧東ドイツの不満から右派政党躍進
- 同記事のコメント欄(Yahoo!ニュース)
- ドイツ連邦統計庁 Verdienstunterschiede zwischen Ost und West(35 Jahre Deutsche Einheit)
- ブランデンブルク州 選挙結果公式サイト 2025年連邦議会選 アイゼンヒュッテンシュタット市
- Tagesspiegel Das Wahlergebnis für Eisenhüttenstadt bei der Brandenburg-Wahl 2024
- 連邦政治教育センター(bpb) Landtagswahl in Sachsen-Anhalt 2026: AfD stärkste Kraft
- Wikipedia(独語) Landtagswahl in Sachsen-Anhalt 2026
- Wikipedia(独語) Eisenhüttenstadt
- ostdeutschland.info Elitenmonitor 2026: Ostdeutsche bleiben deutlich unterrepräsentiert
- HalleSpektrum Elitenmonitor: Ostdeutsche weiterhin unterrepräsentiert in Spitzenpositionen
- Infratest dimap 33 Jahre Wiedervereinigung(ARD委託、2023年8月28〜30日調査)
- Berliner Zeitung Umfrage: So viele Ostdeutsche sehen sich als Menschen zweiter Klasse
- DIW aktuell Nr. 121 Sachsen-Anhalt zeigt das AfD-Paradox(2026年7月24日、マルセル・フラッチャー)
