コロナのとき、
しんどかった人いる?

――早稲田大の研究が、11年分のデータで数えた

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10/23 17:12 / 発信国:日本 / 記者:工藤

精神科の外来、いちばん増えたのは20〜24歳 早稲田大が11年分を分析

2020年4月から5月の最初の緊急事態宣言のあと、精神科の外来にかかる人がいちばん増えたのは、20〜24歳だった。早稲田大学の可知悠子准教授らの研究グループが、2013年4月から2024年4月までの全国の医療保険データを調べ、10月20日に発表した。あの時期だけの落ち込みでしょ、と思っていた人は多いはずだ。でも、データはそう言っていない。

使ったのはNDBの公開集計データだ。宣言の前と後で、受診の増え方(グラフの傾き)がどう変わったかを見比べる分割時系列解析という手法をとっている。15〜39歳と60〜69歳で外来の増え方が加速し、なかでも20〜24歳の変化がいちばん大きかった。

数字を並べると、順番がそろわない

研究では、都道府県を宣言の長さで3つに分けている。最初の宣言しか出なかったところが「低強度」、そのあとの宣言が積み重なった長さによって「中程度」「高強度」に分かれる。

紙に印刷された折れ線グラフ
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20〜24歳の数字はこうだ。人口10万人あたりの1日平均の外来受診件数について、高強度の地域では、その増え方が宣言の前に比べて1か月あたり0.54件分大きくなった(95%信頼区間0.46〜0.63)。中程度は0.34件、低強度は0.42件。

宣言が長かった地域ほど増えた、と読みたくなるが、順番はそろっていない。中程度(0.34件)より、短かったはずの低強度(0.42件)のほうが大きい。

人口10万人は、中くらいの市ひとつ分だ。0.54件の上積みが1年続くと、宣言前のペースのままだった場合と比べて、1日あたり6.5件ほど多くなる計算になる。

増えたのは、つらさか、行きやすさか

では、若い人の心の調子がそれだけ悪くなった、ということなのか。研究グループは、そこまで言い切っていない。可知准教授は、思春期から若年成人期は「社会環境の変化や孤立などがメンタルヘルスに影響しやすい時期」だと話す。そのうえで、学校の休み、仕事やお金の変化、医療の体制の変化も同じ時期に起きており、「今回観察された変化を緊急事態宣言の影響だけで説明することはできません」としている。公開された集計データのため、男女の違いも調べられていない。

手がかりはある。入院のほうは、多くの年齢層・地域で減った。しかも25〜69歳では、多くの地域で外来の増え方が入院の減り方を上回っていた。入院が外来に置き換わっただけ、では説明しにくい。精神科医療全体の利用が増えた、というのが研究グループの見方だ。

症状の側の研究もある。東京大学などが、東京近郊の16歳およそ2000人を調べた。コロナ禍の2020年3月〜2021年9月に調査した群は、その前(2019年2月〜2020年2月)に調査した群より、抑うつ症状と精神病様症状が悪くなっていた。悪化は男子でより目立ったという。

ただ、どちらの研究も「つらさが増えた」と「病院に行くようになった」を、きれいには分けていない。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄では、当時の対策そのものへの不満が目立つ。学生が大学に行けず、施設を使えないのに費用は取られたとして「極力通常通りの学生生活ができるように配慮すべきだった」と書く声。「若者が感染を広げているというニュースを取り上げたメディアがあったことを絶対に忘れない」と、若い人が悪者にされたことを責める声もある。マスクで表情が読めないことが子どもに影響した、という指摘も出ている。一方で、悪いのは対策ではなくウイルスのほうだ、という趣旨の書き込みもあった。

研究グループが求めているのは、次に同じようなことが起きたときに、全国の平均だけを見ないことだ。年齢と地域ごとに、心の健康と受診の動きを見続ける。そうすれば、支えが要る人を早く見つけられる、としている。

11年分のデータに残っているのは、病院にかかった人の記録だけだ。行かなかった人は、1件も数えられていない。

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