電気代が高くなったから、
使わないだけ
――英国で電力消費が減った理由に、こんな反論
写真はイメージ Photo by Andrey Metelev on Unsplash
英国の発電量、1人当たりで1968年を下回る 日本も同じ道かと思ったら逆だった
英国で作られる電気が、1人当たりで1968年を下回った。統計サイトのOur World in Dataが10月3日に出した分析による。書いたのはハンナ・リッチー氏だ。頂点は2003年の約6,700キロワット時。そこから3分の1以上減って、直近は約4,200キロワット時になった。1968年の約4,300キロワット時より少ない。
世界はどうなのか。1人当たりの発電量は、2000年以降で5割以上伸びている。英国はその流れと逆に下がって、1960年代の終わりの水準まで戻った。
なぜ、減ったのか
よく挙がる理由は脱工業化だ。英国で産業が使う電気は、2005年と比べて4分の1少ない。
ただ、工場の分だけではない。リッチー氏は、家庭と、店や事務所で使う分も同じくらい落ちたと書いている。電球が白熱からLEDに替わり、家電にも省エネの基準ができた。こうした効率の改善も、大きく効いたという。
もう一つある。減った分のいくらかは、使う量が落ちたのではなく、輸入が変わったためだ。電力の純輸入は、2010年には需要の1%だった。2025年には9%になっている。
日本も頂点は過ぎた。でも、向きが違う
では、日本も同じ道なのか。日本も、頂点はだいぶ前に過ぎている。環境エネルギー政策研究所によると、国内の総発電電力量は2007年の頂点から約2割減った。Our World in Dataの同じ指標で見ると、1人当たりでは2008年の約9,236キロワット時がいちばん多く、2024年は約8,213キロワット時。1割ほどの減りだ。
ただ、減り方が英国とは違う。日本の1人当たり発電量は、いまも英国のおよそ2倍ある。2020年の約8,005キロワット時からは、少し戻してきた。
先の見通しは、もっとはっきり逆を向く。電力広域的運営推進機関が今年1月に出した2026年度の需要想定では、全国の最大需要が2026年度の1億5,963万キロワットから、2035年度に1億6,460万キロワットへ増える。年0.4%ほどの伸びだ。1年間の需要量も、8,437億キロワット時から8,871億キロワット時になる。ただし、こちらは1人当たりではなく、国全体を足し合わせた量の見通しだ。英国の数字と、そのまま並べられるものではない。
増える理由は、データセンターと半導体工場だ。この想定では、家庭向けが年0.6%ずつ減り続け、データセンターなどを含む産業向けが年1.7%ずつ増えて、全体を押し上げる。
ここが、ややこしい。日本で減り続けるのは、家庭の分なのだ。
ネットの評判
英国の数字は、技術系の掲示板Hacker Newsでも話題になった。14日夜の時点で315点、コメントは494件。効率が上がった成果だとして歓迎する書き込みがある。ある人は「電球は6倍効率が良くなったが、6倍の明るさを欲しがる人はほとんどいない」と書いた(英語の投稿を訳した)。減ったのは「歓迎すべき効率の改善」と「残念な脱工業化」の両方によるものだ、という書き込みもあった。
一方で、値上げで使えなくなっただけだ、という見方も出た。家庭の電気料金が2010年から約150%、事業用は約175%上がったとして、価格で配給しているようなものだと書いた人がいる。アルミの精錬が中国へ移ったことが英国の消費を押し下げた、という指摘もあった。
割れたのは、効率の成果なのか、値上げによる我慢なのか、という点だ。日本の想定では、これから増える電気はデータセンターや工場が使い、減るのは家庭の分だ。
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- Electricity generation per person in the United Kingdom has fallen by a third from its early-2000s peak(Our World in Data、Hannah Ritchie、2026年10月3日)
- The United Kingdom generates less electricity per person than in the 1970s(Hacker News 投稿ページ)
- Per capita electricity generation(Our World in Data、日本の年次データCSV)
- 国内の2023年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)(環境エネルギー政策研究所/ISEP)
- 2026年度供給計画の取りまとめについて(PolicyScope、電力広域的運営推進機関の資料の要約)
- 【深堀り解説】OCCTO、2026年度需要想定を公表(株式会社電力シェアリング)
- 2026年度 全国及び供給区域ごとの需要想定について(電力広域的運営推進機関)
- 全国及び供給区域ごとの需要想定(電力広域的運営推進機関 業務紹介)
- Electricity statistics methodology note(英国 DESNZ)
- 電気の計量制度について(資源エネルギー庁)
