頼まれる前に、手を出す?
- 熊本の被災地で、自衛隊による炊き出しは一度も行われませんでした。参議院の予算委員会でそれを指摘した議員に、与党席から「謝れ!」というヤジが飛びました。政府は、自治体から給食支援の要請がなかったと説明しています。
- 「気づいたのに、やらないの?」
- 「頼まれてないことやると、迷惑って言われる」
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 言われる前に動く派 の言い分
台所に洗い物が積み上がっているのを見ると、わたしはもう手が動いています。だれにも頼まれていません。頼まれるのを待っていたら、水は冷たくなって、うちの人は疲れた顔のまま寝てしまいます。職場でも同じです。隣の席で電話が鳴り続けていたら、わたしが出ます。「出ようか」と聞いているうちに、相手は切ってしまいますから。
こうなったのは、実家の母を見てきたからだと思います。母は、だれかが口に出すまで動かない人でした。父が熱を出した夜も、母は頼まれていないからと言って、薬を買いに行きませんでした。わたしは中学生で、自転車で薬局まで走りました。あの夜の寒さを、まだ覚えています。人は、困っているときほど、助けてと言えません。言える元気が残っているなら、その人はもう困っていません。
本音を言えば、頼まれるまで待つ人は、やらない言い訳を探しているだけだと思っています。手を出して怒られるのが、怖いだけでしょう。わたしは怒られてもかまいません。余計なお世話だったと笑われるほうが、見て見ぬふりをして寝るより、ずっと気分がいいんです。
あなたが味方した 頼まれてから動く派 の言い分
わたしは、頼まれていないことはしません。実家に帰っても、台所には入りません。母の台所は、鍋の置き場所も布巾の干し方も決まっています。わたしが手を出すと、母はあとで全部やり直します。ありがとうと言われたあとで、戸の向こうから、やり直す音が聞こえてくるんです。あれを聞いてしまったら、もう手は出せません。
勤め先でも同じです。昔、休んだ同僚の仕事を先に片づけておいたことがあります。親切のつもりでした。でも、その人は自分のやり方で途中まで組み立てていて、わたしが整えたせいで、進める順番がすべてずれました。頭を下げたのは、わたしのほうです。あのとき分かりました。善意と、相手の都合は、別のものです。
だから今は、先に聞きます。これ、やっておいていいですか、と。ひとこと聞けば済むことです。それをしない人は、助けたいのではなく、助けている自分を見ていたいんだと思っています。わたしは、ありがとうと言われなくてかまいません。頼まれたら、言われた通りにやります。それが、相手にとっていちばん邪魔にならない形です。
どちらにも聞かれない立場 助けを頼む側
頼むか頼まないかを決めるのが、いちばんしんどいんです。手一杯のときに、やっていいですかと聞かれても、頭が回りません。断るのにも気力がいります。勝手にやられるのも、先に聞かれるのも、どちらも疲れます。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →「自衛隊の炊き出しゼロ」は本当だった なぜ国会で「謝れ」と言われたのか