弁当が凍ってて、
食べられない

――奥田ふみよ議員が、国会で大臣に

写真はイメージ Photo by Hikari Graf on Unsplash

10/20 12:49 / 発信国:日本 / 記者:工藤

「自衛隊の炊き出しゼロ」は本当だった なぜ国会で「謝れ」と言われたのか

10月19日の参議院予算委員会で、いのちの党の奥田ふみよ議員が「熊本の被災地で、自衛隊の炊き出しがゼロだ」と指摘した。すると与党席から「そうだ!」「謝れ!」というヤジが飛んだ。謝るのは、指摘された側ではなく、指摘した側なのか。

「炊き出しゼロ」そのものは、だれも否定していない

炊き出しがゼロだったことは、政府も否定していない。防衛省が出した災害派遣の発表資料には、給水や入浴の実績が細かく並ぶ。だが給食支援の記述は出てこない。

国会議事堂の外観
写真はイメージ Photo by Tsuyoshi Kozu on Unsplash

小泉進次郎防衛大臣が返したのは、ゼロかどうかではなく、なぜゼロなのかという話だった。「自衛隊の災害派遣における具体的な任務内容も、自治体と調整した結果、要請があったものを行っており、今回給食支援についての要請はありませんでした」。そのうえで、奥田議員がSNSで「自衛隊の炊き出しゼロ」と、やるべきことをやっていないかのような印象を与える発信をしていると述べ、「それは事実とまったく異なります」と話した。前置きは「熊本の震災に携わった隊員の士気にも関わる」。高市早苗総理も「求められていない支援を無理やりやれということでしょうか」と返し、「自衛隊の名誉に関わりますよ」と話した。

発端は8月だ。奥田議員は8月10日に防衛省へ被災地支援の要望書を出した。その返答で炊き出しが一度も行われていないと分かったとして、13日にXへ「熊本の被災地、自衛隊の炊き出しゼロ‼️」と投稿した。投稿では、2016年の熊本地震について、その翌日から自衛隊が炊き出しを始め、おにぎり約1,600個分のご飯を炊いたと、産経新聞2016年4月18日の記事を引いている。今回も約10万戸以上が断水した、とも書いた。

48日間で19万2,200人、食事を作る役だけがなかった

では、自衛隊は何をしていたのか。防衛省の発表では、派遣は7月28日の要請受理から9月13日の撤収要請まで48日間。のべ約19万2,200名で、最大時は約5,100名態勢だった。給水は約5,600トンで、うち約3,180トンが病院向け。入浴支援は約23,980名、民間船「はくおうⅡ」での宿泊支援は約960名。クーラーを約300台運び、ブルーシートを約70軒に張った。

支援が終わったのは、熊本県知事から陸上自衛隊第8師団長へ撤収要請が出たからだ。始めるのも終わるのも、要請する側が握っている。では、その要請を出すのは誰か。同じ地震で被災した自治体だ。

奥田議員は委員会で「え、何それ。給水支援もお風呂の支援もやめちゃったんですか」と声を上げ、現場の水が足りていないと訴えた。配られる弁当が「凍っていたり匂いが変で食べられない」という声があるとも話した。最後に「総理もう一度、被災地に視察に行ってください。本当にもう撤退していいのかどうか、ご自身で確認にしてください」と求めた。議論は、かみ合わないまま終わった。

ネットの評判

Xの投稿を集めたまとめサイトでは、奥田議員への批判が大多数を占めた。「自治体からの要請でやることを知らないんだろ」「物資運搬など炊き出し以外の支援をやっている」と、仕組みを知らない批判だという指摘が目立つ。行政の仕組みを分かっていない、批判のための批判だ、という声もある。そのまとめサイトは「賛成意見はほぼ見当たりません」と書いた。擁護の声がどれだけあるのかは、調べた範囲では確かめられなかった。この話題は、Yahoo!ニュースの国内アクセスランキングでも上位に入っている。

48日間で、自衛隊は約5,600トンの水を運び、約23,980人を風呂に入れた。温かい食事を作る役だけは、一度も回ってこなかった。

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