安いほうまで行く?近くで払う?
- 東京23区では、同じ火葬なのに料金が場所で倍近く変わります。公営の臨海斎場は4万4000円ですが、これは港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区の5区の住民の値段で、ほかの区の人が使うと8万8000円です。東京都は10月14日、区内に公営の小さな火葬場を新しく作る案を示しました。
- 「同じ商品で倍は、払えない」
- 「走り回るコストが、一番高い」
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 安いほうへ行く派 の言い分
冷蔵庫に貼った広告を見てから、買い物に出ます。卵が安い日はこの店、肉はあっちの店と決めています。自転車でひと駅ぶん走るのは、私には散歩と同じです。火葬の料金が区によって倍になると聞いたときも、まず調べたのは、安いほうの斎場を自分の区から使えるのかどうかでした。
父を見送ったとき、私は葬儀屋さんに出された紙を、ろくに見ないでそのまま頼みました。あとで、同じ中身をずっと安く頼めたと知りました。あのときの悔しさが、まだ残っています。言われた値段をそのまま払うのは、相手の言い値で買うことです。中身が同じなら、値段を見比べるのは当たり前だと思っています。
近くで済ます人たちは、よく、時間のほうが高いと言います。でも、その人が浮かせた時間で何かを稼いだところを、私は見たことがありません。たいてい家でテレビを見ています。私は、動いたぶんだけ手元にお金が残ります。残ったお金で、孫に好きなものを買ってやれます。
あなたが味方した 近くで済ます派 の言い分
買い物は、駅前の一軒ですべてそろえます。安い店が隣町にあるのは知っていますが、行きません。あそこまで往復すると、帰ってきたときには夕方です。その日はもう、何もできません。斎場の料金が区で違うという話も、聞いてはいましたが、調べる気にはなりませんでした。見送る日に、地図を広げて斎場を安い順に並べる自分を、想像したくなかったのです。
母が、そういう人でした。安いガソリンスタンドを探して、遠くまで車を走らせる人でした。助手席に乗せられていた私は、安くなった分より多くのガソリンを使ったのではないかと、子どもながらに思っていました。それでも母は、得をした顔をしていました。私は、あの助手席に二度と座りたくありません。
安いほうへ行く人を、けちだとは思いません。あの人たちは、見比べることそのものが好きなのでしょう。好きならいいのです。ただ私は、見比べているあいだ、ずっと落ち着きません。損をしていないか、もっと安いところがあるのではないかと、考え続けてしまいます。考えないで払える値段のほうが、私には安いのです。
どちらにも呼ばれない立場 建つ場所に住んでいる人
安いほうを選ぶ話も、近くで済ます話も、どこかに建ってからの話です。候補に挙がるのは、火葬場がない区だと聞きました。うちの前の道を毎日、霊柩車が通るようになるのかどうか。その相談は、まだ誰からも来ていません。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →東京23区の火葬料は、住んでいる区で倍になる