AIで作った物に、腕は出る?
- 『ドラゴンクエスト』の堀井雄二が、生成AIで推理アドベンチャーを1本作り、お金を払わずに遊べる形で公開しました。本人はXに「ゲームの制作時間は、ほんの30分ほどでしたよ」と書いています。遊んだ人の間では、画面の工夫を認める声と、「普通」と突き放す声が並びました。
- AIはただの道具だ!
- AIにお任せでいいじゃん
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 腕が出る派 の言い分
私も休みの日に、AIに頼んで同じようなものを作ってみました。質問して、答えの矛盾を突く。その仕組みなら、まねできます。でも、出てきた画面はぺたっとしていて、自分でもどこを押せばいいのか分かりませんでした。相手の気持ちを表す数値をどこに置くか、どこで相手を黙らせるか、その加減が、私には思いつかなかったんです。
勤め先で、隣の席の先輩と同じ表計算のソフトを渡されたことがあります。先輩が作った表は、見た瞬間に何の話か分かりました。私の表は、翌週に自分で読み返しても意味が取れませんでした。道具は同じものでした。違ったのは、先輩が何年も、人に見せる表を作り続けてきたことだけです。あの日から私は、道具の名前で物を褒めるのをやめました。
本音を言えば、「これくらい誰でもできる」と書く人が実際に出した物を、私はまだ見たことがありません。出してくれたら、私はちゃんと遊びます。たぶん、私が作ったものと同じで、ぺたっとしているはずです。腕は、作る速さには出ません。どこを削るかに出ます。
あなたが味方した 道具がすごい派 の言い分
私も、新作が出た晩に、AIへ「取り調べで矛盾を突くゲームを作って」と頼みました。出てきたのは、質問を選んで、証拠を選ぶだけのものでした。正直に言って、公開されたものを遊んだときと、感想は大きく変わりませんでした。名前を隠して二つ並べられたら、私はどちらがどちらか当てられないと思います。
うちには、ボタンを押すだけでパンが焼ける機械があります。焼きたてを出したら、家族は町のパン屋のものよりおいしいと言いました。私は粉をこねたことも、発酵を待ったこともありません。えらいのは機械です。あのときに分かりました。道具が強くなると、腕の差は、出来上がった物に出なくなります。その差が出なくなったのに、出ていると言い張るのは、長く作ってきた人への遠慮だと思います。
本音を言うと、中身の同じ物に有名な人の名前が付いたとたん「やっぱりプロだ」と言い出す人が、私は少し苦手です。その人は、出た物を見ていません。道具が、誰にでも同じ力を貸してくれた。それは積み上げを否定する話ではなくて、めでたい話ではありませんか。
どちらにも呼ばれない立場 名前が並ばない作り手
続編のほうは、何人もかかって何年も作っています。会社の名前は並びますが、私たちひとりひとりの名前は、どこにも出ません。30分で一本という話が回るたび、机の上に残っている作業の山は、誰の話題にもなりませんでした。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →堀井雄二がAIで30分で作った推理ゲーム、43年前と同じ「ひとり」と本人は書いた