大学院まで出て、
ドブさらい?
――水力発電所で働いていた人が、匿名の投稿で
写真はイメージ Photo by Alex Andrew on Unsplash
水力発電所で働いていた人が「太陽光でいいよ」 熊の出る現場と34円の買取価格
「発電所で働いてたけど、太陽光でいいよ」。こんな題の投稿が、10月20日にはてな匿名ダイアリー(名前を出さずに書ける投稿サイト)に出た。書いたのは、水力発電所で働いていたという人。はてなブックマークで164人がブックマークし、「政治と経済」の1位に入った。
言っていることは一つ。水力発電所の手入れにかかるお金が高すぎる、だ。しかも小さいものほどひどいという。投稿者は、1万kW(10MW)以下は全部「小水力」だと書き、それを「ゴミ水力」と呼ぶ。
院卒がドブさらい、そこに熊が出る
なぜそんなに高くつくのか。投稿者が書いているのは、お金より先に、人の話だった。
水力発電所の仕事は「3K+熊の4K」らしい。きつい、汚い、危険に、熊が足される。大学院を出た人が「くっさいくっさいドブさらい」をする。ヌートリアしか通らないような水路に、点検で入っていく。
外の会社に頼めばいいのでは。それも無理らしい。「業者居ないのよ、やってくれる所」(原文ママ)。できる人が年を取って辞めていき、昔のように外に出せる先がなくなった、という話だ。
太陽光のほうは、故障を見つけるのも点検も修理も楽だと書いている。しかも点検のとき、必要な部分だけ発電を止めておける。投稿者はそこを「神」とまで書いた。蓄電池がそこら中に置かれるようになったら、水力発電所は人手が足りなくて消えていく、と見ている。
ここは、はっきりさせておきたい。この人が本当に発電所で働いていたかは、確かめられない。名前を出さない投稿サイトなので、経歴を裏から取る方法がない。
国が決めた値段は、34円と9.9円
投稿の話は、合っていた。小水力の手入れが重いことは、公の資料にも出てくる。川や用水路には枝や枯れ葉やゴミが流れてくる。動いているかの確認とゴミの取り除きは毎日必要だ。維持管理の人を確保すること自体が課題だ、ともされる。
もっと分かりやすいのが、国が決めた電気の買取価格だ。FITで、2026年度は200kW未満の中小水力が1kWhあたり34円。事業用の太陽光(50kW未満)は9.9円。3倍以上の開きがある。
この値段は、建設と維持にかかる費用から逆算して決まる。つまり「34円で買わないと成り立たない」と、国の側も認めているということだ。
しかも条件は、水力のほうがいい。環境省のサイトでは、設備利用率は小水力が70%程度、太陽光は12%程度。同じ1kWの設備なら、水力は5倍以上発電する。それでも1kWhあたりの値段は3倍以上だ。
ネットの評判
はてなブックマークでは、賛成と反対に割れた。
うなずく側は、仕組みで納得している。動く部品のない機械は手入れが楽で、金属をあまり使わない機械は安い、という声。以前は疑う声が多かった太陽光が、いまは日本の発電の1割ほどになっている、という指摘もあった。
一方で「水力と太陽光はトレードオフの関係ではない」と書く人もいる。「〜発電だけでいい」という言い方は素人の話だ、という厳しい声だ。太陽光を広げるほど土地が足りなくなる、という指摘も出た。
この言い分には数字の裏づけもある。太陽光は余ると止められる。出力制御の見通しでは、2026年度に九州で6.9%、東北で4.0%。発電できても売れない電気が、それだけ出る。
九州の太陽光は、晴れすぎると止められる。小水力はその逆で、止めるより先に、水路に入る人がいなくなりかけている。
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