去年、残業しなきゃ
よかったのかな
――もらえるかどうかは、前の年の所得で決まる
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash
新給付、対象2000万人で年収上限300万円台 301万円の人はどうなる
政府が10月19日、新しい給付の対象について、与野党に参考案を示した。対象を約2000万人と仮定すると、もらえる人の年収の上限は300万円台になる、という推計だ。毎日新聞がその日、そう伝えた。
つまり、年収300万円台のどこかに線が引かれる。では、線のすぐ外側に立つ人は、どうなるのか。
線の外側は、いきなりゼロではない
制度の名前は就業者負担軽減支援金。もらえる額は、年収で変わる。
野村総合研究所のエコノミスト、木内登英が9月30日に出したコラムによると、仕組みはこうだ。所得の下限を超えると、まず定額がつく。そこから所得が増えるほど、額も増える。しばらくは、額が一定のまま続く。そのあとは、所得が増えるほど額が減る。そして所得の上限を超えると、対象から外れる。
だから、線の1万円手前の人が3万円をまるごともらい、1万円外の人が3万円をまるごと失う、という形ではない。逓減の区間では、額はすでに小さくなっている。崖というより、長い下り坂の終わりだ。
ただ、その下り坂こそが問題だという見方もある。木内は同じコラムで、逓減の区間が新しい年収の壁を作ると述べた。給付が減る分、税や社会保険料と合わせた実質の負担が重くなる所得帯が生まれる、という指摘だ。
対象かどうかは、前の年の所得で決まる。去年どれだけ働いたかが、今年もらえるかを左右する。
政府自身が「510万円以下は重い」と試算している
毎日新聞によると、政府は同じ場で、別の試算も出した。夫婦と子ども2人の子育て世帯のうち、世帯年収約510万円以下の層は、海外の先進国に比べて税や社会保険料の負担が重い、というものだ。
300万円台と510万円。どういうことか。片方は一人の年収、もう片方は世帯の年収だから、そのまま並べては比べられない。木内によると、対象の判定は一人ずつの所得で行う。だから夫婦で255万円ずつ稼ぐ世帯なら、二人とも線の内側に入りうる。でも、片方が一人で510万円を稼ぐ世帯は、線のはるか外側だ。政府が「重い」と認めた範囲の中に、給付が届かない人が残る。
線は、下にもある。毎日新聞によると、下限の年収は53万円、74万円、106万円の3案が出ている。
で、いくらもらえるのか。先行する2027・28年度の原資は、飲食料品の消費税1%分、年6000億円。これを2000万人で単純に割ると、1人平均3万円になる。月に直せば2500円だ。
線の位置は、まだ動く。政府は「あくまで参考値」としていて、国会の審議を経て年末までに決める。支給額は法案に書かず、政令で変えられるようにする(共同通信)。
ネットの評判
Yahoo!ニュースに載った毎日新聞の記事には、634件のコメントがついた。ABEMA TIMESは7月、SNSで「働いたら負けの政策では」「中間層の恩恵がない」といった不満が出ていると伝えた。同じ記事では、エコノミストの「所得だけで切るのはかなり乱暴」という指摘も紹介されている。上限を年収270万円程度とした場合、対象は約1割だけ、という話だ。
一方で、受け入れている人のほうが多い。共同通信の10月の世論調査では、この制度に賛成が50.8%、反対が42.9%。山陰中央新報によると、30代以下では賛成が59%だった。働く人に絞って配る形そのものは、いまのところ多数派に支持されている。
2029年度、食べ物の消費税は8%に戻る
飲食料品の消費税は、2027年4月から2年間だけ、8%から1%に下がる。2029年度に給付が本格導入され、税率は8%に戻る予定だ。食べ物の税は、7%分、元の高さに戻る。木内は、2029年度に税率が戻るときのことも指摘した。給付の対象から外れる中間層以上には緩和措置がなく、実質の増税になるという。
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お金がかかる
――兵庫県で、1万3000筆の署名に出た声
- 新給付対象2000万人、年収上限300万円 政府「参考」提示(毎日新聞)
- 年収300万円上限に給付 新制度案、働き手支援(共同通信)
- 就業者負担軽減支援金の基本設計と課題(野村総合研究所・木内登英、2026年9月30日)
- 所得連動型の給付制度は賛成50%(共同通信、2026年10月18日)
- 所得連動型給付、30代以下賛成59% 世論調査(山陰中央新報、2026年10月19日)
- 「働いたら負けの政策では」SNSで不満噴出の“所得連動型給付”は誰を救う?(ABEMA TIMES、2026年7月22日・転載ページ)
- 【解説】給付付き税額控除を“給付一本化”へ 働いている中低所得層が対象 子育て世帯は上乗せ(FNNプライムオンライン/YouTube、2026年5月27日。本文に埋め込み)
