あの味、
前と変わった気がする
――中国で、いちばん売れている唐辛子ソースについて
中国・老干妈の売上を戻したのは、AIではないという
ベルトコンベヤーの前で唐辛子をより分ける人が、600人あまりから48人になった。中国の調味料メーカー、老干妈(ラオガンマー)の工場の話だ。代わりに入ったのは、AIを使った検査だという。IT之家が10月13日に伝えた。
なぜ、そこまで減るのか。ベルトの上を産業用のカメラが撮り、0.3秒でカビや斑点のある実を見分ける。はじかれた実は、強い空気で吹き飛ばされる。主な工程の不良率は0.02%まで落ちた。残った48人は、機械が通した実を人の目で最後に見る役になった。
2025年の売上高は54億元。IT之家も世界日報も、過去最高だと伝えている。ただ界面新聞は、2020年の売上を54.03億元としている。どちらが上かは、丸めた数字では分からない。中国の調味ソース市場では、老干妈が約55%を占めて1位だ(2025年7〜9月)。
「AIが54億もうけた」ではない
54億元は売上で、もうけではない。世界日報も、これは利益ではないと注記している。
では、売上が戻ったのはAIのおかげなのか。業界の人たちは、そうは見ていない。世界日報によると、効いたのは創業者の陶華碧(とう・かへき)氏が現場に戻り、貴州産の唐辛子を使う元の配合に戻したことだという。AIは、その品質を守る道具という位置づけだ。
退いてから、戻ってくるまで
陶華碧氏が経営から退いたのは2014年。そこから売上は、2016年の45億元、2018年の43億元と落ちていく(東方財富)。この時期、貴州産から安い河南産の唐辛子に替えたと報じられた。1斤(500グラム)で4〜5元の節約になる、という話だ(澎湃新聞)。同じころから、味が変わったと言われるようになる。
陶華碧氏が現場に戻ったのは2019年。21財経によれば、元の配合に直し、貴州産の唐辛子を全面的に使い直して、原料の基準を厳しくした。そのあとの売上は、2022年52.6億元、2023年53.81億元、2024年53.91億元、2025年54億元。退いてから11年、現場に戻ってからでも6年がたっている。
ここが、ややこしい。会社自身は、味が落ちたことを認めていない。2026年1月27日、老干妈は顶端新闻の取材に「老干妈一直保持原有的原材料、工艺和口感,都没有发生过变化」と答えた。原材料も作り方も味も、ずっと変えていない、という意味だ。替えたと報じた記事と、替えていないという会社の説明が、並んだままだ。
600人が48人、カメラが0.3秒。この細かい数字は、会社の発表としては見つからない。人材会社の才库猎头は10月12日の記事で、こうした細部は個人が運営する媒体の転載にしか見当たらず、出どころをたどれないと書いている。この記事も、報じた媒体の名前までしかたどれていない。差は550人あまりになるが、その人たちがどこへ行ったのかも、読めた出典のどれにも書かれていなかった。
ネットの評判
中国のSNSでは、「54億元」をもうけだと読み違えた声が目立つ。600人が48人になった点については、残りの500人あまりは失業ではないのか、という書き込みが並ぶ(新浪財経)。
一方で、擁護する声もある。あるユーザーは「只准你拥抱新科技,不准一个79岁的老太太跟上时代?」と書いた。新しい技術を使っていいのは自分だけで、79歳のおばあさんが時代についていくのはだめなのか、という意味だ。
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- “国民辣酱”老干妈也用上AI,营收已重回巅峰(21財経、2026年10月5日)
- 老干妈不需要创新(界面新聞)
- 老干妈车间装上 AI 之后:一线工人少了,什么岗位多了?(才库猎头、2026年10月12日)
- “79 岁老干妈陶华碧用 AI 一年赚 54 亿” 引热议,网友:这是好事吗?越来越多的人失业(新浪財経、2026年10月14日)
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- 营收重回54亿,陶华碧“救场”后,老干妈挑战仍在(東方財富、2026年1月14日)
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