聞いてみたら、
ありましたって
――ある首相が、就任してすぐ
写真はイメージ Photo by Oxana Melis on Unsplash
英首相が認めた「EU離脱にロシアの介入はあった」 で、その根拠は?
英国のバーナム首相が、2016年のEU離脱を決めた国民投票に「ロシアの介入があった」と認めた。英国の首相が公に認めたのは初めてだという。ただ、その根拠は何も示していない。
発言は、ポッドキャスト番組「The Rest Is Politics」の取材で出た。抜粋が公開されたのは2026年10月11日。バーナム氏によると、2026年7月に首相官邸へ入ったとき、国民投票にロシアの介入があったのかと尋ねたという。返ってきたのは「はい、あった」という明確な答えだった。
だれに尋ねたのか。どの情報に基づく答えなのか。そこは明かさなかった。そのうえでロシアを「我々の敵」と呼んだ。ドイツとフランスの有権者も、政治を乱そうとする動きをもっと知っておくべきだと話した。
証拠は、政府が探していなかった
国民投票は2016年6月23日。離脱51.89%、残留48.11%。差は約127万票だった。
なぜ、10年もたってからなのか。英国政府が、調べていなかったからだ。2020年7月、英議会の情報・安全保障委員会が報告書を出した。政府は介入の証拠を見てもいないし、探してもいないという。公開されている論評に目を通すくらいで、本格的な調査はしていない。
探さないから、証拠は出てこない。その6年後に出てきたのが、今回の「はい、あった」だ。ロシアはこれまで介入を否定し、英国の心配を「反ロシアのヒステリー」と呼んできた。
では、これから調べるのか。その点は、出典では確かめられなかった。
「介入があった」とは、何のことか
ここが、ややこしい。日本でも、同じ悩みがもう始まっている。
2025年7月の参院選では、ボットと呼ばれる自動投稿による大量の拡散が問題になった。時事通信は、個人が運営するまとめサイトと、フォロワーが10万人を超えるアカウントを取材している。東京大学の鳥海不二夫教授が、そのフォロワーを分析した。フォロワーのうち38.3〜87.5%に、ロシア政府系の通信社スプートニクの投稿を広めたことがあった。それでも、教授の言葉は「否定はできないが、それ以上は踏み込めない」だ。サイトの管理者は、ロシア政府とのつながりを否定している。
2026年2月8日の衆院選でも、似たことが起きた。日本経済新聞は、400ほどの中国系アカウントが連携し、高市早苗政権の印象を下げる投稿を広めたと報じた。読売新聞は約3000件のアカウントを挙げたが、こちらは可能性の指摘にとどめた。日本ファクトチェックセンターは「この規模であれば、世論に与える影響は限定的と言えます」としている。批判する投稿なのに自民党が大勝したことが、その裏づけだという。
政府は2025年7月にできた国家サイバー統括室を中心に監視を強めているが、日本経済新聞は、海外に比べて日本の仕組みは弱いと書いた。
はっきりするのは、「だれかが大量に投稿していた」ところまでだ。それが票を動かしたかは、測れていない。英国でも、ロシアの活動が結果を決めたという証拠は出ていない。
ネットの評判
バーナム氏の発言を伝えた日本経済新聞の記事には、12日夜の時点で76件のはてなブックマークが付いた。多いのは、証拠を示さないまま首相が言い切ったことへの疑問だ。離脱を決めたのは英国の有権者自身だ、という指摘も目立つ。
英国の首相が、投票から10年以上たって手にした答えは、「はい、あった」の一言だけだった。
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- 英バーナム首相「EU離脱にロシア介入」(日本経済新聞)
- Burnham says it is 'clear' Russia interfered in Brexit referendum(ITV News)
- UK PM Andy Burnham says it is 'clear' Russia interfered in 2016 Brexit vote(Al Jazeera)
- UK PM Burnham warns French voters of Russian political influence on back of Brexit vote(France 24)
- Russian interference in the 2016 Brexit referendum(ウィキペディア英語版)
- 2016 United Kingdom European Union membership referendum(ウィキペディア英語版)
- 外国からの選挙介入への監視強化 参院選はbotでSNS大量拡散(日本経済新聞)
- 海外からSNSで選挙介入?疑惑のアカウントに取材(時事ドットコム)
- 海外からの「影響工作」の影響は【今週のファクトチェック】(日本ファクトチェックセンター)
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