お腹の話は、
ここでしてもいいのか
――ADHDと腸の、190万人分の数字
写真はイメージ Photo by Tasha Kostyuk on Unsplash
ADHDの人はお腹の不調が多い 英大学が190万人分析
イギリスのウォーリック大学の研究チームが、ADHDのある人はお腹の症状を抱えやすい、という分析を出した。世界各国の23本の研究を集め、190万人を超えるデータをメタ分析でまとめ直したものだ。対象は2歳から65歳まで。論文は「Journal of Attention Disorders」に載り、大学の発表は9月11日に出た。
ひとつの症状の話ではない。お腹の症状をまとめて見ると、ADHDのない人より起こりやすさが48%高かった。消化不良は52%、過敏性腸症候群は58%、腹痛は88%、便秘は97%、下痢は118%。いちばん差が開いたのは、便が漏れてしまう遺糞症で、332%。4倍を超えた。
遺糞症とは何か。MSDマニュアル家庭版では、トイレの練習が終わる4歳を過ぎた子どもが、トイレ以外の場所で便を出してしまうことを指す。わざとの場合も、そうでない場合もある。いちばん多い原因は便秘だ。ただ、今回の4倍超が子どもだけの話なのかは、どの出典にも書かれていない。
ウォーリック医科大学院の医学生で、論文の共同筆頭著者のサラ・ブレイクさんは、発表でこう話している。「便秘、過敏性腸症候群、消化不良まで、私たちが調べた腸の症状のほとんどが、ADHDと関連しているように見えた」(訳)
なぜ、お腹なのか
では、なぜそうなるのか。理由は、まだ分かっていない。
候補はいくつも出ている。大学の発表が挙げるのは、思いついたときに食べる、食事の時間が不規則といった特徴と、ADHDの薬の副作用で便秘などお腹に出ることだ。腸にいる細菌の違いがADHDと関係しているという研究もあり、それが迷走神経を通ってお腹に出るのではないか、とも書かれている。日本語の解説記事は、ストレスや睡眠の乱れ、感じ方の違いによる食事の偏りも挙げている。
ただ、どれも「かもしれない」の段階だ。研究チームのサラン・シャンティクマール臨床准教授は、発表でこう話している。「ADHDがこうした腸の問題を引き起こしている、とはまだ言えない。何がこの関連を生んでいるのかも、はっきりしない。それでも、目を向けるだけの値打ちがあるほど、傾向は際立っている」(訳)
脳の相談と、お腹の相談
原因が分からないのに、この分析の何が使えるのか。研究チームが医師に求めたのは、地味なことだ。ADHDのある人を診る医師は、お腹の症状に気を配り、診察のときに聞くことを考えてほしい。とくに、暮らしの質に関わっているときは。症状が込み入っている人には、栄養士や消化器の専門医が加わると役に立つかもしれない、とも書いている。
つまり、脳の相談とお腹の相談を、同じ診察室で聞いてほしいということだ。では、お腹の相談は、どの科ですればいいのか。日本の診療科が実際にどう分かれているかは、出典では確かめられなかった。ただ、研究チームが「聞くことを考えてほしい」と書いたのは、聞かれないまま終わる場面があるからだろう。
ネットの評判
日本語の解説記事には、はてなブックマークが190件付いた(10月11日時点)。コメントは原因探しに集まっている。「想像されていた以上に腸と脳のネットワーク(腸脳相関)が複雑かつ重要」。「普通に考えればストレスが要因じゃないかと思うよな」。「ADHDが偏食なのはあるあるで味覚過敏」と、食べ方の側から見る声もあった。一方で、「全く感じないなあ」という声も並ぶ。
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