ほら、移民を入れると
こうなる

――日本のSNSで、共感5千件が付いた声

10/21 11:04 / 発信国:フランス / 記者:工藤

フランス全土の暴動 現地でもめているのは、移民の話じゃない

フランスで10月17日、全国110か所でデモがあった。内務省の数えで55万人、組合の数えで80万人。その一部が暴れ、2,397人が逮捕され、警官と憲兵997人がけがをした。うち7人は重傷だ。リモージュでは1883年に建った市庁舎が燃え、鐘楼が崩れ落ちた。

日本のSNSには「移民を受け入れた結果だ」「民度の差だ」という書き込みが並んだ。これに正面から違うと言ったのが、神戸学院大学准教授の鈴木洋仁氏だ。10月20日のプレジデントオンラインで、原因は「移民」でも「民度」でもなく、背後にあるのはフランスの歴史と現実だと書いた。日本のSNSは、フランスを学ぶより、自分の国の先行きへの不安をなんとなく片づける道具になっている、という見方も添えている。

本当にそうなのか。現地で何が言い争われているかを追うと、確かに移民の話は出てこない。

政府は「極左」と言い、パリの検事が待ったをかけた

ルコルニュ首相とローラン・ヌニェス内務大臣は、暴力を仕組んだのは極左の集団だと名指しした。ヌニェス氏は、デモをするのは基本的な権利だが、暴力で、仕組まれたやり方で混乱をまき散らすのは権利ではない、と話した。マクロン大統領も、共和国を倒そうとした者の責任を問うと言った。移民には、誰も触れていない。

ところが10月19日、パリの検事ロール・ベキュオー氏がTF1で、この見立てに留保を付けた。壊したのが極左の活動家だという説明について「いまある情報では、まったく確認できない」(訳)。17日にパリで身柄を拘束されたのは557人で、77%が成人だった。大半は黙っていて、政治的な主張を何も言わない。警察にあまり知られていない人がとても多い、とも話した。

つまり現地の言い争いは、「極左が仕組んだのか、ただの便乗か」だ。移民かどうかは、争点にすらなっていない。

始まりは、高校の校舎だった

では、なぜこんなことになったのか。元をたどると、9月21日、パリ郊外クレテイユの高校から始まっている。先生が足りない、校舎が古い、という訴えだった。それが全国の高校と大学に広がり、教育予算を100億ユーロ増やせ、物価を下げろ、公共サービスを立て直せ、という要求に膨らんだ。

人も傷ついた。パリではデモの行列の近くで男性1人が倒れ、手当てを受けられないまま亡くなった。心臓と呼吸が止まったためと発表されている。サンテティエンヌでは17歳の少年が片手を失い、ミュルーズでは17歳の少女が左目を失った。19日からは、一部の都市で未成年に夜間外出禁止令が出た。

鈴木氏は、日本語の「民度」に当たるフランス語がない、とも書いている。向こうには、その言葉自体がない。

一方、移民を原因に挙げた人はいた。フランスの外にいる。トランプ米大統領は19日、Truth Socialに「移民がフランスを乗っ取った」「国境を、早く閉じるべきだ」(訳)と書いた。バンス副大統領も、西側のリベラルが多様性の名のもとに第三世界を輸入したと書いた。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄には1,011件が付いた。多いのは、やはり移民を原因に見る声だ。「移民系が若年層の三割を占める」とした投稿に共感5,116件、宗教の対立を挙げた投稿に3,113件。反対に、教育の荒れや経済政策の失敗が原因だという声や、受け入れ方が無計画だったのが問題で移民そのものの責任ではないという声もある。財政が行き詰まっているからだという投稿に402件、日本でもデモはあるのに報じられないという投稿に310件の共感が付いた。Xでは、フランスに住むひろゆき氏が18日にフランス語で投稿した。「文化財に火をつける行為は、明らかな教育の欠如を示している」(スポニチの訳)。

10月20日、リモージュの市庁舎に火をつけた疑いで、34歳の男が捕まった。隣のクルーズ県の出身で、極左として警察が前から名前を把握していた人だ。

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