その1秒で、
サーバーが落ちる
――あるIT大手が、世界の時計の番人に
うるう秒は2027年5月に廃止 地球とのずれは、消えずにたまる
フランスのベルサイユで開かれた国際度量衡総会が、10月15日、うるう秒を廃止する決議を採択した。なくなるのは2027年5月20日からだ。原子時計の時刻と、地球の自転から決まる時刻のずれを、1秒ずつ直してきた仕組みが終わる。
うるう秒は1972年に始まった。世界の時計の基準になる協定世界時を、地球の自転に基づく時刻(UT1)に合わせるため、ときどき1秒を足す。これまで27回やった。直近は2017年1月1日(日本時間)だ。
マイナス1秒が、怖かった
なぜ今やめるのか。1秒を「足す」のではなく「引く」日が近づいたからだ。
決議5の文面には、こう書いてある。マイナスのうるう秒が必要になる確率は近いうちに急に上がり、2035年までに30パーセントに達する。27回はすべて足す向きで、引いたことは一度もない。試したことのない操作を、世界中の機械に一斉にやらせる。これは怖い。米Scientific Americanは、早ければ2029年ごろという見通しを伝えている。
足すだけでも、実害は出ていた。2012年には日本国内の接続事業者でサーバー障害が起き、オーストラリアでは航空機の搭乗手続きに支障が出て、多くの便が遅れた。米IT大手が廃止を求めてきた理由はここにある。The Conversationに載った記事は、この決定はIT業界の都合に沿ったものだ、という見方を示している。
ずれは消えない。引き算する人が変わる
ここが、ややこしい。うるう秒がなくなっても、地球の自転と原子時計のずれ自体は消えない。
これまでは、ずれを0.9秒以内に収める決まりだった。2027年5月20日からは、許される幅が3600秒、つまり1時間になる。直さないのではなく、1時間分たまるまで放っておく、という形だ。だから数百年は調整が要らない、と決議5は言っている。
では、ずれを知りたい人はどうするのか。決議5は、その答えも書いている。UT1と協定世界時の差は、測位衛星の航法メッセージで流れ、IERSや各国の計量機関もこれからも公表し続ける。世界中の時計をそろえるのをやめ、ずれを気にする人が自分で引き算する形に変わった、ということだ。国際度量衡総会は、ITUや国際天文学連合、IERSと一緒にずれの動きを見張り、定期的に報告することも決めている。
ずれを気にする人は、たしかにいる。TBS NEWS DIGの解説は、船の位置を測る場面で、1秒のずれが400メートルのずれになる例を挙げていた。
1時間分たまった日に、だれかが「うるう時」をやる。その日付は決まっていない。見込みも報道によって幅があり、数百年という説明と、約7000年後という説明の両方が流れている。
ネットの評判
Yahoo!ニュースのトピックス「『うるう秒』を廃止→『うるう時』の導入決定」には、823件のコメントが付いた。2022年に廃止の方針が決まったときの反応を集めたTogetterのページ(閲覧4万3,000回)では、「これは良いことだな。誤差の許容を増やすことで、システムの設計がシンプルになる(はず)」と歓迎する声と、「ずっと要らんわって思ってたけど廃止決定すると寂しいな」という声が並んでいた。マイナビニュースが紹介した声には、「狂いだしたことに一般人が気づいたり問題が起き たらその時考える、って解釈でおけ?」(原文ママ)というものもあった。4年前の読みは、だいたい当たっていたことになる。
2030年の次の総会では、秒そのものの決め方を変える案が出る。東京大学の香取秀俊教授が考えた光格子時計など、光を使う時計を基準にする案だ。どれだけ正確な時計ができても、地球の自転のゆらぎは残る。だから決議5は、総会がそのずれを測り続けると決めている。ちなみに、施行日の5月20日は世界計量記念日だ。1875年のその日に、17か国がメートル条約に署名している。
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- Resolution 5 (2026) - BIPM
- うるう秒、来年5月に廃止 国際度量衡総会で決定(ITmedia エグゼクティブ)
- 「うるう秒」来年5月20日廃止を決定…国際度量衡総会、時刻のずれを最大1時間まで許容する「うるう時」導入へ(読売新聞オンライン/Yahoo!ニュース)
- Scientists vote to end leap seconds, redefining how the world keeps time(Scientific American)
- Experts have voted to stop adding extra seconds to clock time – the outcome favours big tech(The Conversation)
- 「うるう秒」廃止→「うるう時間」導入へ…人命関わるシステム影響の懸念を解消か 次の調整は約7000年後【Nスタ解説】(TBS NEWS DIG/Yahoo!ニュース)
- うるう秒廃止 うるう時の導入決定(Yahoo!ニュース トピックス)
- 「うるう秒」の廃止が決定→様々な反応集まる(Togetter、2022年11月21日)
- 「うるう秒」の廃止が決まる、ネット「嘘喰いのラストどうするんや」(マイナビニュース、2022年11月29日)
- World Metrology Day