取り消しは、
違う音にしてほしい
――ある利用者が、速報を出した側に
写真はイメージ Photo by Jamie Street on Unsplash
気象庁がM9.9の緊急地震速報を8分で取り消し。その取り消しは、どう伝わったか
2026年10月16日の昼、北海道から東海までの広い範囲で、スマホが鳴った。気象庁が午後0時40分に出した緊急地震速報は、「千島列島でM9.9の地震」「予想される最大震度7程度」という内容だった。約8分後の午後0時48分、この速報は取り消された。
実際に起きていた地震は、これではない。午後0時38分ごろ、カムチャツカ半島付近でM6.9、深さ約160キロの地震が起きていた。日本で観測された揺れは、北海道函館市の震度1だけ。震度2以上はどこにもなく、津波の心配もなかった。
なぜ、そんな数字になったのか。気象庁は午後2時から会見を開き、M6.9をM9.9と過大に推定していたと説明した。震源の場所も、速報では千島列島としていたが、実際はカムチャツカ半島付近だった。海老田綾貴・地震津波監視課長は「大変なご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」と謝った。サイバー攻撃はなかったとはっきり言い、過大推定の原因は調査中だと話した。つまり、なぜ間違えたのかは、まだ分かっていない。
新幹線は15分止まった
鳴ったのは、スマホだけではない。JR東海の地震防災システムが作動して、新横浜駅と豊橋駅の間の送電が止まり、東海道新幹線は上下線の運転を一時見合わせた。止まったのは午後0時40分ごろで、再開は午後0時55分。15分だ。遅れは出たが、揺れによる被害はなかった。
消えたのは「取り消しの伝え方」
昼過ぎからの関心は、「なぜM9.9になったのか」「サイバー攻撃ではないのか」に集まった。原因は調査中だから、答えが出るのを待つしかない。その騒ぎの陰で、もう一つの話が静かに消えた。出してしまった速報を、どう取り消して伝えるか、という話だ。
Xには「取り消しは違う音にしてほしい」という注文が出ていた。取り消しのときにも、速報と同じ警報音が鳴ったという。もう一度あの音が鳴れば、2回目の地震が来たと受け取る人がいる。
言葉のほうも、間に合っていない。取り消した時点で出ていた説明は、強い揺れは観測されなかった、というものだけだった。何が起きていたのか――カムチャツカでM6.9、それをM9.9と見積もったこと――が分かったのは、会見が始まった午後2時だ。取り消しから1時間以上あとである。
取り消しはキャンセル報として流れる。緊急地震速報の専用受信機を売る会社の説明では、受信機がこれを受け取ると「取消します。先ほどの地震速報は誤報です。」という音声に切り替わる。速報を読み上げている途中でも、そこで止めて取り消しに切り替える作りだ。設備を入れた工場や施設では、そこまで決まっている。では、スマホに届く緊急速報メールはどうなのか。気象庁の「緊急速報メールについて」のページには、携帯電話会社を通して緊急地震速報を配信していることは書かれていた。ただ、取り消しを配信するかどうかの説明は見つからなかった。
気象庁は前から、緊急地震速報には「まれではあるが、誤報がありうること」「地震検知直後の震源・マグニチュードの推定や震度予測等の精度が必ずしも十分でない場合があること」という限界があると案内している。だから、鳴ったら身を守るのが先だ。残る問題は、そのあとで「違った」と伝える側の作りのほうにある。
ネットの評判
Xでは、速報の直後に「東日本大震災を超える」「マグニチュード9.9は地球滅亡レベル」という投稿が相次いだ。「昨今多いハッキングの被害では?」と、サイバー攻撃を疑う声も出た。集英社オンラインによると、一時はXの検索がつながりにくくなるほどの反応だった。取り消しのあとは「誤報で良かった」と安心する声が多かった。一方で、取り消しのやり方そのものに注文を付ける声もあり、警報音や文言を分けてほしいという指摘が出ている。
速報は8分で取り消せた。何が起きていたのかの説明は、それから1時間以上あとだった。
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- カムチャツカ半島付近でM6.9の地震 気象庁は緊急地震速報を取り消し 実際は震度1(ウェザーニュース)
- M9.9と過大に推定 サイバー攻撃なし 地震速報取り消しで気象庁(毎日新聞/Yahoo!ニュース)
- 「マグニチュード9.9…世界終わった」「誤報で良かった」緊急地震速報を8分後に取り消し…なぜ誤報は起きる?(集英社オンライン)
- 緊急地震速報を取り消し 気象庁、10月16日(福井新聞・共同通信)
- 東海道新幹線が緊急地震速報受け送電停止、新横浜駅~豊橋駅間で一時運転見合わせ(福井新聞・JR東海発表)
- 【速報中】気象庁 緊急地震速報を取り消し“M9.9と過大推定”“サイバー攻撃はない”(NHK)
- 緊急地震速報とは(気象庁)
- 緊急地震速報(予報)の特性や限界、利用上の注意(気象庁)
- 緊急速報メールについて(気象庁)
- 気象庁キャンセル報(緊急地震速報専用送信機 DPASS)
