不要不急の外出は、
できるだけ減らす

――日本で注意喚起が出たときの、お願い

10/16 04:00 / 発信国:インドネシア / 記者:工藤

インドネシアがまいたドライアイス1.5トンは、火を消すためではない

インドネシア政府は10月15日、南スマトラ州パレンバンの上空に、飛行機からドライアイス1.5トンをまいた。森林と泥炭地の火事で出た煙を、空の上へ押し上げるためだ。同じ日の昼、中部カリマンタン州カティンガン県のISPUは1,551だった。「危険」とされる線は300。その5倍を超えている。

東京なら、外に出ない日

日本の物差しに置き換えてみる。これはたとえで、日本で起きている話ではない。国が決めた暫定の指針では、PM2.5の1日平均が1立方メートルあたり70マイクログラムを超えそうなとき、注意喚起が出る。福岡県の説明では、住民への呼びかけは2つ。「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」、それと「換気や窓の開閉を最小限に」だ。

東京はどうか。東京都環境局は、都内の一般の測定局でこの70を超えた日はない、と書いている。2014年2月3日には、朝の時間帯の判断基準を超えた測定局が出た。でも午後に風が吹き、1日平均は70に届かなかった。

今回の煙は、シンガポールまで流れた。Katadataによると、14日、シンガポール西部のPM2.5は1立方メートルあたり288マイクログラム。2015年以来、いちばん高い。日本の70は1日の平均値だが、288がいつの時点の値かは書かれていない。だから何倍とは言い切れない。シンガポール政府はN95マスクを体の弱い人に配り、西部の屋外のスポーツ施設を閉めた。マレーシアでは、クアラルンプールを含む半島部で学校が休みになった。

では、煙の下に住む人は、どう判断するのか。ここが、ややこしい。注意喚起なら「今日はやめておく」で済む。パランカラヤの煙は、7月の終わりから続いている。もう3か月近い。市の教育局は、幼稚園と小中学校の遠隔授業を10月15日から17日まで延ばした。その前は12日から14日まで。3日ずつ延びている。市内の一部の道路では、視界が50〜100メートルしかない。保健省の集計では、8月から10月13日までに急な呼吸器の病気が28万3,270件。うち6万3,711件が0〜5歳の子どもだ。

ネットの評判

オレンジ色の空の写真と動画は、14日にThreadsで広まった。tvOneNewsが伝えた投稿では、ある住民が14日午前10時の写真を載せ、「人間も、動物も、ほかの生き物も、分かる範囲を本当に超えている」と書いた(インドネシア語からの訳)。換気口をふさいでも煙が入ってくる、子どもがせきをしている、という投稿もあった。Katadataによると、マレーシアの国会議員サイド・サディク氏は、東南アジアの国々がインドネシア政府に正式な抗議をすべきだと訴えた。

火は、地面の下で燃えている

なぜ消せないのか。国家防災庁のベルトン・スアル・ペリタ・パンジャイタン氏(災害データ情報通信センター所長代行)は15日、こう話した。燃えているのは泥炭地だ。表面の火が消えたように見えても、地面の下では燃え続ける。土の中の層が燃えてなくなると、上の土が落ち込む。そこにできた穴から、煙と火が出る。表に熱が出にくいので、普通の衛星の画像では見つけづらい。

だからドライアイスは、火を消す道具ではない。政治・安全保障をまとめる調整大臣のドゥドゥン・アブドゥラフマン氏の説明では、低いところにたまった煙を上へ逃がすのが役目だ。1.5トンのドライアイスはランプン州などから集め、CASA機でパレンバンの上空へ運んだ。うまくいけば、中部カリマンタンにも広げるという。

目標は、パレンバンの視界だ。いまの約1,000メートルを、5,000メートル以上にする。1.5トンのドライアイスが目指したのは、空気をきれいにすることではなく、5キロ先が見えるようにすることだった。

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