台風、来る前に予定やめる?
- 来週の台風が日本に来るのかどうか、進路の予想はまだ割れています。気象庁は、24時間以内に台風になる見込みの熱帯低気圧を発表しました。台風になれば、今年30個目です。SNSでは、来週のマラソンは走れるのか、予約したフェリーや飛行機は動くのかを気にする投稿が目立っています。
- 「来るかも、で畳みます」
- 「来てから畳んでも遅くない」
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 早めに畳む派 の言い分
台風が来るかもしれないと聞いた晩に、私はもう予約の画面を開きます。宿のキャンセル、切符の払い戻し、親に送る荷物の日付変更。全部その場で終わらせて、布団に入ります。翌朝、進路が西にずれていても、私は後悔しません。空いた予定表を見て、ほっとするだけです。
こうなったのは、前に一度、粘って失敗したからです。家族で船に乗る旅行を、やめるかどうか、直前まで決められずにいました。結局、前の日の夜に欠航の知らせが来て、宿には電話がつながらず、代わりの宿も満室で、子どもは玄関で荷物を抱えたまま泣きました。あのとき私が払ったのは、お金だけではありません。粘っていたあいだ、私はずっと天気の画面を見ていて、仕事も家のことも手につきませんでした。あの時間が、いちばん高かったと思っています。
正直に言うと、ぎりぎりまで待つ人を見ていると、こちらが振り回される姿が先に浮かびます。待っている本人は格好よく見えるのかもしれませんが、宿の人も、同じ日に予定を合わせた友だちも、その人の返事をずっと待たされます。決めない時間は、だれかが肩代わりしています。私はそれが嫌で、先に畳むようにしました。
あなたが味方した 当日まで待つ派 の言い分
天気の話が出ても、私は何もしません。予約はそのまま、荷造りもそのまま、当日の朝に空を見て決めます。駅まで行って、掲示板を見て、動いていれば乗ります。止まっていれば、改札の前で温かいものを買って帰ります。それだけのことです。
実家が海の近くで、父が小さな工場をやっていました。台風が来ると言われるたびに、父は仕事を止めて、窓に板を打ちつけました。それなのに雨も降らず、晴れた日が何度もありました。止めた日の分は、だれも払ってくれません。母が「また晴れたね」と笑って、父は黙ってお茶を飲んでいました。あの顔を、私は子どものころから見てきました。来るかもしれない、で畳んだ日は、戻ってこないんです。
本音を言えば、早めにやめる人は、やめた理由を天気に預けるのがうまいなと思っています。本当は面倒になっただけの日でも、台風が理由なら、だれにも責められません。私は、行けたはずの日を自分の手で捨てたくありません。当日の朝に無駄足を踏むのは、私の負けでかまいません。晴れた空の下で、行けばよかったと思うより、そのほうがましです。
どちらにも呼ばれない立場 予約を受ける側
宿やフェリーの窓口で働いています。来るかもしれない、の段階でお客様の電話が鳴り始め、来ないと分かれば、こちらから空いた日を埋め直す電話をかけます。やめる人も粘る人も、決めるのは一度です。けれど私たちは、同じ予定の電話を二度受けます。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →13年ぶりの台風30号へ 30個を超えた2013年、上陸はたった2個だった