おひたしが、
料亭の味みたいになった
――たった少しの手間だけで
おひたしの「醤油洗い」、SNSの新技ではなく和食の基本だった
ゆでた青菜をぎゅっと絞って、だしをかける。おひたしは、それで完成だと思っていた。
その先に、もう一手間あるらしい。絞ったあとに醤油をほんの少しまぶして、もう一度絞る。これだけで「料亭の味みたいになった」という話が、10月7日からXで広まった。毎日おひたしを食べているという人の投稿だ。投稿と返信をまとめたページ(Togetter)は、9日までに7万6千回以上読まれている。
Xでこの投稿を見る
技の名前は「醤油洗い」。ページを保存して共有するサイト、はてなブックマークでも793人が登録し、コメントが87件ついた。知らなかった、やってみる、という声が目立つ。
なぜ、水っぽくならないのか
和食の下処理をまとめたサイトは、濃さの差で説明している。濃口醤油の塩分は約16%、食材の細胞の中の液は約0.9%。この差で浸透圧が働き、中の水が表面に出てくる。水が抜けた分、あとでかけるだしが薄まらない。醤油の旨味も下味として入るから、仕上げの味つけは少しで決まる。
やりすぎが心配になる。醤油を足して、また絞るのか。同じサイトの目安は、青菜100gに小さじ1〜2。置く時間は1〜2分だ。先に水気を絞るのは、水っぽいままでは醤油が薄まり、濃さの差が出ないからだという。はてなブックマークにも、青菜200gに小さじ半分ほどという分量を挙げるコメントがある。
よく思いついたものだ、と感心する。だが、これはSNSで生まれた裏技ではない。醤油メーカーのキッコーマンが「基本の和食」として出しているほうれん草のおひたしのレシピに、「しょうゆ洗い」は載っている。しょうゆ大さじ1を水大さじ3で割った「しょうゆ水」をかけて軽く絞る、という手順がそのまま書いてある。台所道具を売る店が2019年10月に出したおひたしの記事にも、小松菜の重さに対して塩分0.5〜0.6%という目安つきで出ていた。
酒洗い、塩洗い、酢水洗い。余分な水や臭みを抜く下処理には、同じ型の名前が並ぶ。醤油洗いは、その一族の一つだった。
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