入られたのは、
うちのサーバーではない
――ある大手保険会社が、約6万件の漏えいの可能性を発表して
写真はイメージ Photo by Nicole Logan on Unsplash
損保ジャパン6万件の漏えいか 1つの委託先から3社が立て続けに公表
損害保険ジャパンが10月7日、顧客の情報が延べ約6万件漏れた可能性があると発表した。ただ、入られたのは損保ジャパンのサーバーではない。問い合わせ対応を任せていた会社、スカラコミュニケーションズ(東京都渋谷区)のサーバーだ。
漏れたかもしれないのは、事業者向けの通信機能付きドライブレコーダー「SMILING ROAD」に寄せられた問い合わせの記録だ。氏名、電話番号、住所、メールアドレス、勤務先の情報などが入っている。約6万件は、同じ人が何度も問い合わせた分も足した延べの数である。損保ジャパンによると、自社側のシステムに入られた跡は見つかっていない。悪用された形跡も、ネットに出回った形跡も、発表の時点ではないという。
1台のサーバーに、5社分が載っていた
入られていたのは、10月2日の20時33分頃から3日の8時1分頃まで。11時間半ほどだ。スカラコミュニケーションズの説明はこうだ。何者かがFAQシステム「i-ask」の管理サイトに、不正にログインした。そこに不正なプログラムを仕込み、同じサーバーのデータベースから問い合わせの情報を抜き取った可能性があるという。気づいたきっかけは3日の朝、データベースの監視の警報だった。8時頃には遮断した。
ここが、ややこしい。i-askを使う会社の環境は、1台のサーバーの上に最大5社分載っていた。だから侵入は1回でも、被害は何社分にもなる。そのサーバー全体で、漏れた可能性のある問い合わせは延べ最大71万3,126件にのぼる。
公表は立て続けだった。10月5日に大和証券が約22万件(約11万名)。6日にシチズン時計が約10万名分。7日に損保ジャパンが約6万件。3日間で3社。入口は1つである。
では、どうやって入られたのか。発表に書かれているのは、第三者が管理サイトに不正にログインした、というところまでだ。手口は、まだ分からない。スカラコミュニケーションズは個人情報保護委員会に報告し、警察にも相談した。これからは、パスワードだけで管理画面に入れないようにし、会社ごとの環境も分けるという。
ネットの評判
今回の件をまとめたブログ(piyolog)のページは、はてなブックマークが5件で、コメントは1つもない。一方、2026年の流出を一覧にした「2026年 情報漏洩・不正アクセスTier表」のページには、10月8日の時点で776件が付いている。1件ずつ追うより、まとめて並べたものに人が集まっている。
そのコメントで目立つのは、パスワードを暗号化せずそのまま保存していた例への驚きだ。「単純ハッシュ化すらしてないとは」という声が出ている。
「多い」のは、事件か、発表か
なぜ、こんなに続くのか。Qiitaに10月6日に出たまとめは、2026年に入ってから10月6日までの大規模な漏えいを62件数えている。損保ジャパンも2025年に、自社のWebシステムへの不正アクセスを受けている。
表に出る数には、制度の事情も混ざる。不正の目的による行為で個人データが漏れた疑いがあるとき、企業は速報と確報を出さないといけない。本人への通知も必要だ。ただし、世間への公表そのものは義務ではない。本人に個別に知らせるのが難しいとき、公表で通知に代えてよいとされている。
損保ジャパンも、漏れた可能性がある人には一人ずつ連絡するという。ただし、連絡が難しい相手には、今回の公表がそのまま連絡の代わりになる。自分が延べ6万件のうちの1人なのか、知らないまま終わる人もいる。
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- 【一覧】当社システムに対する不正アクセスの発生及び情報漏えいの可能性について(損害保険ジャパン)
- 2026年の大規模な情報漏洩まとめ(国内外62件・10月6日時点)(Qiita)
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