会社のパソコンに、
他社のAIを入れていい?

――ある社員が、情報システム部に

写真はイメージ Photo by Carlos Muza on Unsplash

10/8 11:04 / 発信国:米国

Googleドキュメントの横に、ライバルAIが座った

会社が全社員に配った文書ソフトには、そのソフトを作った会社のAIが最初から付いていた。そこへ競合のAIが「この文書の横に、私も座らせてほしい」とやってくる。——これはたとえ話で、日本で起きたことではない。実際の舞台はGoogleのアプリだ。米Anthropicは2026年10月6日、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドの横に「Claude」のサイドバーを開けるアドオンを、パブリックベータとして公開した。

開いているファイルを、そのまま直す

使えるのは、Claudeの有料プラン。Pro、Max、Team、Enterpriseの4つだ。Google Workspace Marketplaceから一度追加すれば、3つのアプリすべてに入る。開いていたファイルを読み込み直し、メニューの「拡張機能」からClaudeを開く。

Claudeは、開いているファイルの中身と、こちらが選んだ文字・セル・スライドを読む。ドキュメントでは、書式を保ったまま文を直す。大きく書き直すときは、サイドバーに提案カードを出し、採るかどうかを人が決める。スプレッドシートでは、数式やピボットテーブル、グラフを作る。表の結合や誤りの直しのような重い作業は、Pythonで処理して、きれいにした結果をシートに書き戻す。スライドでは、いま開いているファイルと同じレイアウトとテーマで新しいページを足す。要素の重なりやはみ出し、読みにくさは、Claudeが自分で点検する。

初期設定は「編集の前に聞く」。Claudeが何をするかを説明し、こちらが許可を押すまで動かない。「すべての編集を許可」に切り替えると、一つずつの確認をやめて進む。

Geminiが先に座っていた席

ここが、今回の面白いところ。Google Workspaceには、もともとGeminiが組み込まれている。Googleの案内によると、月1,600円のBusiness Standardにも、Gmailやドライブ、スプレッドシートのAI機能が含まれている。今回のアドオンは、Googleが用意した席の隣に、競合がもう一つ椅子を置いた話なのだ。

窓辺に並ぶ2つの椅子
写真はイメージ Photo by Declan Sun on Unsplash

ただ、無料で座れるわけではない。Claude側の有料プランが別に要る。会社で使うなら、TeamとEnterpriseでは管理者の承認も必要になる。Google側の管理者も、Marketplaceの許可リストで入れるかどうかを決められる。

できないことも、わりとはっきりしている。アドオンは、開いている1ファイル以外を勝手に開けない。ドライブのほかのファイル、Gmail、カレンダー、連絡先には届かない。ドキュメントのコメントは読めず、返信も解決もできない。ブラウザはChrome、Edge、Safari。Firefoxはこのベータでは動かず、サイドバーは出ても処理が終わらない。1回の処理は6分まで。サイドバーを閉じると、作業は途中で止まる。やり取りした内容は、原則30日以内にAnthropicのシステムから消える。

ネットの評判

Google Workspace Marketplaceの掲載ページには、公開の翌日(10月7日)の時点で、利用者が「8K+」、つまり8,000以上と出ている。レビュー欄は5件で、「Great」「greatest」といった短い称賛が並ぶ。同じ欄には、プロンプトインジェクションを心配する声も1件あった。別のAIで報じられた弱点を引いて、同じように文書やシートから情報を抜き取られる危険はないかを問いかけるものだ。日本語圏はまだ静かで、GIGAZINEの記事に付いたはてなブックマークは2件、コメントはなかった。

では、Claudeが直した場所は、あとから見分けられるのか。Anthropicの説明では、Claudeの編集はGoogleが「あなたの名前で」記録する。ファイルの変更履歴には、自分で打ち直したのと同じように並ぶ。1か所ずつ取り消すことも、前の版に戻すこともできる。

直したのはClaudeでも、履歴に名前が残るのは自分だ。

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