客は減ったのに、
消費は過去最高?
――訪日客は2か月続けて前年割れ
写真はイメージ Photo by Cullen Cedric on Unsplash
訪日客は2か月続けて減ったのに、7〜9月の消費は2兆2076億円
観光庁は10月21日、7〜9月に日本へ来た外国人旅行者が使ったお金を2兆2,076億円と発表した。インバウンド消費動向調査の1次速報で、前年の同じ時期より3.2%多い。1人当たりの支出は23万3,677円で、6.1%増えた。
同じ10月21日、日本政府観光局(JNTO)は9月の訪日客数を310万3,700人と発表している。前年の同じ月より5.0%減で、8月に続く2か月連続の前年割れだ。1〜9月の合計は3,073万200人で、2.9%減った。
人は減って、お金は増えた。なぜそんなことになるのか。
中国が4割減り、台湾と韓国が埋めた
国・地域別の消費額を見ると、顔ぶれが入れ替わっている。首位は台湾の3,818億円で26.2%増。2位の中国は3,583億円で、39.8%も減った。3位の韓国は2,938億円で45.8%増、5位の香港は1,555億円で37.1%増。4位は米国の2,409億円だった。
9月の客数も同じ形をしている。中国は43万800人で44.5%減。一方で韓国が84万2,300人で25.6%増、台湾が59万5,600人で13.0%増と、どちらも9月として過去最高だ。JNTOは、多くの市場が前年を下回った理由として、中東情勢による航空券の高騰、航空便の減便、台風による欠航を挙げている。
団体でまとめ買いをする中国の客が減り、近場の台湾・韓国・香港の客が増えた。その入れ替わりで総額は落ちなかった、という見方ができる。ただ、観光庁の速報は、消費が増えた理由までは示していない。
買い物より宿、都市より地方
お金の使い先はこうだ。宿泊費が7,778億円で全体の35.2%。買物代が6,109億円(27.7%)、飲食費が5,058億円(22.9%)、交通費が2,185億円(9.9%)、娯楽などのサービス費が940億円(4.3%)。「爆買い」で知られた買物代より、泊まる・食べるのほうが大きい。国・地域別の1人当たりでは、フランスが42万3,021円で最も高かった。
気になるのは、平均の泊数が10.3泊で、前年より1.2泊短いことだ。滞在は短くなったのに、1人が使う額は増えた。つまり、1泊あたりに落ちるお金が増えている。
では、そのお金はどこに残るのか。観光庁の宿泊旅行統計では、7月の外国人の延べ宿泊者数は1,331万人泊で、6.5%減った。ただ中身が違う。三大都市圏は868万人泊で9.2%減、地方部は464万人泊で0.9%減にとどまった。地方部の割合は34.8%で、前年より1.9ポイント上がっている。
県ごとに見ると、福島が73.1%増、三重が58.8%増、山形が55.2%増、福井が46.8%増。混雑の話で名前が出る土地ではなく、これまであまり名前が出なかった土地が伸びた。
ネットの評判
Yahoo!ニュースに転載されたトラベルボイスの記事には、29件のコメントが付いた。目立つのは、人数が減って消費が増えたことを歓迎する声だ。あるユーザーは「中国からの観光客数が減り、インバウンドの消費は前年対比で増えている。日本にとって、こんなハッピーな事はない」と書き、別のユーザーは「この傾向が続けばオーバーツーリズム問題を少し緩和しつつ、国内経済への貢献度も高まる」と書いた。「量より質が大事」という声もある。
冷ややかな見方も出ている。「円建てでみたら増加していますが、米ドルでみたら減少。消費額が増えたのは円安になったから」という指摘だ。ドル円の月間平均は、2025年7〜9月が147円台、2026年7〜9月が156〜162円台。円が安くなった分、外貨で見た伸びは小さくなる。京都の朝食が1人2,500円だった例を挙げて、日本人を置いていく値付けを心配する声もあった。
人は減って、お金は増えた。1〜9月の合計では、消費額は速報値で7兆574億円の過去最高、訪日客数は2.9%減だった。
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