休みが増えても、
給料が減るなら要らない
――調査に答えた正社員の、3分の2が
写真はイメージ Photo by Roman Bozhko on Unsplash
週休3日の実験で燃え尽きは減った それでも「給料のほうがいい」人がいる
アメリカの経済学者ジュリエット・B・ショアが、週4日勤務の実験の結果を本にまとめた。日本語版の題は『週休3日の経済学』(東洋経済新報社)。2022年の前半から2024年の夏まで、アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの245組織・8700人超を追いかけた記録だ。
結果は、かなり良い。燃え尽きが緩んだ人は69%。ストレスと不安が軽くなった人は40%近く。心の健康が良くなった人は42%、体の健康は37%。
で、給料はどうなるのか。ここが肝心だ。この実験は、給料をそのままにして、週の労働時間を多くの場合32時間まで減らす、という形でやっている。所定労働時間の8割で、給料は10割。そういう設計である。
燃え尽きは減ったが、時間は4.6時間しか減っていない
ただ、数字をよく見ると別の顔が出てくる。参加した働き手の平均で、週の労働時間は4.6時間しか減っていなかった。週に5日働く人なら、1日あたり1時間弱だ。シニアマネージャーのように立場の重い人が、結局は休めなかったからだという。
研究そのものにも弱いところがある。2025年に科学誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに載ったショアらの論文は、141組織・2896人を扱ったものだ。だが比べるための対照群は、たった12社しかない。無作為化比較試験ではなく、参加した企業は自分から手を挙げた会社だった。健康も生産性も、働き手の自己申告に頼っている。対象は英語圏の国に限られ、専門サービスやオフィスの仕事に偏っていた。書評によれば、建設業と製造業は参加企業のわずか4%だった。
うまくいった例も、うまくいかなかった例もある。ロンドンのクラフトビール醸造所では、3時間かかると思い込んでいた機械の清掃が1時間半で済むと分かった。一方で、受けた仕事を納期までにこなせないと判断して、週5日に戻した企業もあった。6か月以上続けた企業のうち週5日に戻したのは7%未満。悪くない数字だが、売上のデータを出したのは参加企業のおよそ半分だけである。
ネットの評判
この書評は、はてなブックマークで192人に登録され、コメントが37件並んだ。歓迎する声は「水曜が休みになれば、平日が全部どちらかの休みの前か後になる」「退職が止まれば、採用と教育にかかっていたお金が浮いて元が取れる」といったもの。
一方で、疑う声も多い。売上データを出したのは半分で生産性も自己申告だと、研究の弱さを突く意見。できる2割にしわ寄せがいって優秀な人が辞めるという心配や、美容師や臨床医のような仕事では無理だという指摘。結局は基本給が下がるか残業が増えるだけだという見立ても並んだ。
日本で足りていないのは、休みではなく
日本の数字を見ると、話がもう一段ややこしくなる。マイナビ転職が2023年9月に正社員900人に聞いた調査では、収入が減るなら週休3日制を「利用したくない」が66.8%。週休3日のイメージは「収入が減りそう」37.5%、「正社員では難しそう」25.1%、「時間内に業務が終わらず残業が増えそう」23.8%だった。
実際、日本で先に広まったのは給料が減る形のほうだ。みずほフィナンシャルグループは2020年12月から選択的週休3日制を始めたが、給与は週休3日で従来の約8割、週休4日で約6割になる。対象は約4万5000人。選んだ人の内訳は、週休3日と週休4日がおよそ6対4だという。
ショア自身は、1日10時間を4日という形には、はっきり否定的だ。休みの日のストレスは減っても、働く日のストレスが増えるから。つまり彼女が言っているのは「休みを増やせ」ではなく「時間を短くして、給料は下げるな」なのだと読める。
同じマイナビの調査では、収入が変わらないなら「利用したい」と答えた人が76.8%いた。日本で足りていないのは休みの日数ではなく、休んでも減らない給料のほうらしい。
43万円の新型冷蔵庫、錆びて見える
Xで話題のアクア「AQR-DUX51B」
うちのサイトも
止まるんですか
――止め方は、会社によって分かれた
結局、PayPayで
よくない?
――還元率は0.5%と1%で横並び
- 労働時間を減らすことで会社と労働者に何が起こるのか?──『週休3日の経済学: 人生を変えるイノベーション』 - 基本読書
- Large-scale trial finds four-day workweek improves employee well-being and physical health - PsyPost
- 週休3日制、「収入減るなら利用したくない」が約7割 「マイナビ転職」調査 - ITmedia ねとらぼ調査隊
- みずほフィナンシャルグループ 人事業務部企画チーム 調査役 大坪 恭佑 氏|「週休3日」で働く|リクルートワークス研究所
- はてなブックマーク(基本読書『週休3日の経済学』書評のコメント一覧)