生理が2週間半前に
来たばかりなのに
――パク・ソヨン、初マラソンで7位完走
写真はイメージ Photo by Capstone Events on Unsplash
25キロで生理が来ても7位完走 韓国の全国体育大会、称賛だけでいいのか
韓国の陸上選手パク・ソヨンが、10月18日に済州島で開かれた第107回全国体育大会の女子マラソンで、2時間48分51秒の7位に入った。初めて走ったフルマラソンだった。そして25キロあたりで、予定外の生理が始まっていた。走っている途中で、である。そのまま走ったのか、と思うだろう。
「2週間半前に来たばかりだったのに」
パク・ソヨンは陜川郡庁に所属する選手だ。レースのあと、本人がSNSに書いた言葉が韓国で広まった。「25キロあたりで予想外に生理が始まった。確かに2週間半前に来たばかりだったのに」。「生理痛でおなかが締め付けられるように痛み、力が抜けた」とも書いた。
坂が続くコースだった。それでも止まらなかった理由も、本人が書いている。「もう二度と諦めないという自分との約束を守りたかった」「次はもっと良い姿で戻ってくる」。第103回大会の3000メートル障害で金メダルを取っている選手だ。なお、この大会で生理への対応があったのかどうかは、確かめられなかった。
ネットの評判
韓国のマネートゥデイなどがこの話を伝えると、応援の書き込みが並んだ。「精神力が本当にすごい」「あの痛みの中で諦めずに完走するとは、尊敬する」。会場で見ていたという人は「現場で血が出ているのに完走する姿を見た」と書いた。一方で「健康が優先だ。体も大事にしてほしい」と心配する声もあった。日本語で伝えたYahoo!ニュースの記事には、コメントが14件付いていた。
称賛の前に、選手たちが頼んでいたこと
韓国日報は3月6日に、女性選手と生理の特集を出している。女子サッカー韓国代表の26歳、チョン・ミンヨンは「生理痛がひどいほうだが、毎回痛みを我慢して試合に出てきた」と話した。2021年の大事な試合では鎮痛剤を5錠飲み、頭痛と吐き気に襲われたという。
1998年のバンコク・アジア大会で金メダルを取った水泳のチョ・ヒヨンは「水の中は水圧で生理の血が漏れないが、水から出ると漏れる。だから多くの選手が心配している」と話す。SNSに「生理中でも泳げる」と書いたら、「汚い」といった中傷が来たそうだ。
数字もある。高麗大学安岩病院の産婦人科、チョン・ヘギョン教授によると、エリート選手が無月経になる割合は最大60%。一般の女性は2〜5%だ。30人の教室に1人いるかどうかという割合が、選手では5人に3人になる。
同じ特集で、国民大学のパク・ジュヒ教授は「生理は女性選手の健康と人権、尊厳につながる問題だ」と話している。この特集に並んだ改善案は、派手なものではない。心のケアのプログラムに生理の話を入れること。スポーツ医学の指針を作ること。ユニフォームの色を選べるようにすること。
日本でも同じ話が出ている。陸上女子100メートル障害の田中佑美は、10月12日に日本体育大学で開かれたトークイベントで、大学3年のときに初めて婦人科に行ったと話した。最初に使った中用量ピルでは「吐き気など、練習するのが辛いくらいの副作用があって」、低用量ピルに替え、やっと自分に合う薬に出会えたという。
海外では、仕組みのほうが動き始めた。スポーツ京郷によると、イギリスの女性選手769人への調査で、36%は、生理が来ないことを正常だと思っていた。30%は医療者から「運動量が多いから生理がなくても大丈夫」と言われていた。一方で、アメリカの女子サッカー代表やチェルシーFCの女子チームは、生理の周期に合わせて練習の中身を変えている。
パク・ソヨンの完走に集まったのは、まず「精神力」という称賛だった。称賛だけで終われば、頼みごとは次の大会まで残る。そう読むこともできる。3月の記事で選手たちが求めていたのは、根性をほめる言葉ではなく、ユニフォームの色を選べることと、生理についてのスポーツ医学の指針だった。
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