国の仕事してたなんて、
知らなかった
――武部農相の事務所が、公示日に届いた30万円に
武部農相に公示日の30万円 同じ構図は萩生田氏や高市氏の支部にも
10月15日に農林水産大臣に就いた武部新氏をめぐり、公選法違反の疑いが指摘された。武部氏が代表を務める「自由民主党北海道第十二選挙区支部」が、2024年の衆院選の公示日にあたる10月15日に、紋別市の海運会社から30万円の企業献金を受け取っていた、と文春オンラインが10月20日に報じた。その会社は、国の公共事業を請け負っていた。
公選法は、国と請負などの契約の当事者である者が、その選挙に関して寄附をすることを禁じている。特定の寄附の禁止と呼ばれる決まりだ。文春オンラインによると、この海運会社は2024年4月8日から12月6日まで、国交省北海道開発局の網走港湾事務所から「港湾業務艇運航業務」を受注していた。献金の日は、その契約期間の中にある。
なぜ、よりによって公示日なのか。郷原信郎弁護士は文春オンラインに「前後の時期に寄付はなく、当該選挙の公示日だけに寄付しており、選挙との関連性が強く疑われます」と話した。武部氏の事務所は「当時、当該会社がご指摘の事業を受けた事実は承知しておりませんでした。事実を確認の上、返金するなど適切に対応いたします」と回答した。会社の側は「本件については武部新事務所が一括として対応する」として答えなかった。
禁じられているのは、出す側だ
199条が「寄附をしてはならない」と書いている相手は、国と契約している側、つまり会社のほうだ。罰則の248条も、罰がかかる相手を「寄附をした者」と書く。3年以下の拘禁刑か、50万円以下の罰金だ。
では、受け取った議員の側はどうなるのか。200条が「何人も、選挙に関し、第百九十九条に規定する者に対して寄附を勧誘し又は要求してはならない」と定めている。頼んで出させたなら、その人も罰の対象になる。逆に、会社が自分から出してきたのなら、受け取った側に罰はかかりにくい。
つまり「その会社が国の仕事を取っていたとは知らなかった」という説明は、この条文の作りにぴったり合う。武部氏の事務所の回答も、そういう形になっている。
同じ説明は、前の選挙でもあった
これは武部氏だけの話ではない。萩生田光一氏が代表を務める自民党東京都第24選挙区支部は、同じ2024年10月の衆院選の期間中に、国の事業を請け負った八王子市の自動車整備会社から30万円の寄付を受けていた。共同通信が2025年11月27日に伝えた。萩生田氏の事務所は「直ちに法令に違反するものではないが、道義的観点から返金の上、収支報告書を訂正する」と回答した。金額まで同じ30万円だ。
その前の選挙でもあった。2021年の衆院選のときには、高市早苗氏、萩生田光一氏、小渕優子氏の3人が代表を務める政党支部が、国の公共事業を請け負う事業者から寄付を受けていた、と日本経済新聞が2023年9月に報じた。3人は寄付を認め、すでに返したか、今後返すとした。
では、だれがチェックしているのか。地元の会社が国のどの仕事を取っているかを、支部が一つずつ確かめる仕組みは、報道からは見えてこない。献金が入り、あとから政治資金収支報告書が公開され、報じられて、返す。この順番が選挙ごとに繰り返されている。
ネットの評判
はてなブックマークでは、文春オンラインのこの記事に162人がブックマークを付けた。多いのは、返せば終わりなのかという声だ。「典型的な『ごめんで済んだら警察はいらない』案件」「万引きしてもバレたら返せば無罪、とでも?」と書いたユーザーがいる。「ため息しか出ない。これが本邦の政治家の姿」という声もあった。
一方で、個人を責めるより法律の作りを見ている書き込みも並んだ。「公選法は逃げ道が『作られている』そして与党も野党もそのザルの目に肖っている」「警察に怒られるのも企業側」というものだ。「こんな初閣僚、叩けば幾らでも出るだろ」と書き、武部氏に限った話ではないと見るユーザーもいた。
文春オンラインは、10月21日正午に配信する電子版と、22日発売の号で、武部氏をめぐる別の公選法違反の疑いも伝えるとしている。
同じ2024年の衆院選で、武部氏の支部と萩生田氏の支部は、どちらも国の仕事を請け負う会社から30万円を受け取り、どちらも返すと答えた。
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- 【公選法違反の疑い】武部新農相が2024年衆院選で違法献金を受け取っていた
- 同記事2ページ目(郷原信郎弁護士のコメント、武部氏事務所とA社の回答)
- 公職選挙法第199条第1項(特定の寄附の禁止)条文
- 公職選挙法第200条第1項(寄附の勧誘又は要求の禁止)条文
- 公職選挙法 第十六章 罰則(第248条・第249条の刑)
- 萩生田氏側へ衆院選中に寄付 国契約会社、30万円返金へ(共同通信・2025年11月27日)
- 高市早苗氏ら政党支部、国と契約企業から寄付 2021年衆議院選挙時
- 新農相に武部新氏が就任、農林副大臣や文科副大臣などを歴任(食品産業新聞社)
- [B! 選挙] 【公選法違反の疑い】武部新農相が2024年衆院選で違法献金を受け取っていた(はてなブックマーク・コメント)