直したのに、査定は
100万円下がります
――ある買取店が、売りに来た人に
写真はイメージ 撮影 David Howard/CC BY-SA 2.0(ウィキメディア・コモンズ)
追突されたアルファード、査定100万円ダウン 格落ち分は誰が払うの?
納車から3か月のアルファードが、追突された。修理費80万円は相手の保険会社が払ってくれた。ところが売ろうとしたら、買取店に「事故車なので査定が100万円下がる」と言われた。直したのに、なぜ下がるのか。
この話は、お金の情報サイト「ファイナンシャルフィールド」が10月20日に出した記事。FP2級の上野梓さんが、読者の相談に答える形で書いた。Yahoo!ニュースのアクセスランキングでは総合3位に入った。
事故で下がった分は「評価損」、中古車の現場では「格落ち分」と呼ばれる。結論から言えば、請求はできる。ただ、100万円が丸ごと戻る話ではない。
裁判所が認めた額は、修理費の2割が最多
弁護士の清水大地さんが、評価損を争った裁判例を集めて公開している。認められた額でいちばん多いのは修理費の20%程度で12件。次が10%程度で9件。
大阪地裁の令和2年11月24日の例では、1か月落ちのレクサスLC500Sで、修理費47万5000円に対し14万2500円。名古屋地裁の令和2年2月7日の例では、7か月落ちのベンツS560ロングで、修理費435万330円に対し130万5099円。
アルファードに戻す。修理費80万円の2割なら16万円、3割でも24万円。査定が下がると言われた100万円とは、76万円以上の開きがある。
新しければ必ず通るわけでもない
同じまとめには、ゼロだった例も並ぶ。初度登録から5か月の国産軽自動車は、修理費26万4600円で評価損なし。修理せずすぐ売って損が埋まっていた例も、認められなかった。
もうひとつの壁が修復歴の線引きだ。骨格はフレーム、ピラー、フロア、トランクフロアなど、溶接でくっついた部分だけ。ボルト止めの部品は入らない。追突で80万円かかっても、骨格に届いていなければ「修復歴あり」にはならない。
保険会社が渋る理由も、ここにつながる。直しきれない傷が残る「技術上の評価損」は、ほぼ争いにならない。もめるのは、見た目も性能も戻ったのに事故歴だけで値が下がる「取引上の評価損」だ。直したのだから価値は下がっていない、売るまで損は出ていない。かつてはこうした理由で否定された。いまの裁判例は認める方向だが、いくら下がったかの線引きは残る。
ネットの評判
Yahoo!ニュースのコメント欄には215件が付いた。多いのは、あきらめの声だ。「普通はその部分は誰からも補償されない。運が悪かったと思って、自分が損を被るしかない」という書き込みがある。
少数派として「事故前の査定書類があれば、先方と交渉して差額を支払ってもらった」と自分の例を挙げる人もいた。弁護士を立てず一人でやるのは「非常に負担」という声もある。
線引きそのものを突く指摘も目立つ。査定額は時期や査定する人で2〜3割変わるのに、損害額をどう決めるのか。修理費80万円では修復歴扱いにならないのでは。
記事が念を押しているのは、評価損は被害者から言い出さないと検討されない損害だという点。材料は車検証、骨格の修理が分かる修理明細書、損傷箇所の写真。止まっているところへの追突だと自分の保険会社は代わりに交渉できないので、弁護士費用特約の有無も確かめたい。
下がった分を数字にしてくれる書類はある。日本自動車査定協会の事故減価額証明書だ。ただ、それを証拠に出したのに「一般的な市場価値の減価を直ちに示すものとはいえない」と退けられた裁判例がある。取るのに払った1万2970円まで、認められなかった。
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