地元に金を持ってくるのが
政治家の仕事でしょう

――はてなブックマークに並んだ批判への反論

写真はイメージ Photo by Marek Lumi on Unsplash

10/20 16:41 / 発信国:日本 / 記者:工藤

高市首相の地元・奈良で交付金6.24倍 でも「それが政治家の仕事」?

3860万円が、2億4100万円になった。6.24倍だ。

奈良県大和郡山市の「総合交通戦略推進事業」に国から出る社会資本整備総合交付金が、今年度そうなった。大和郡山市は、高市早苗首相の選挙区である奈良2区の中にある。日刊ゲンダイが報じた。

今年度、奈良県の自治体に配られたこの交付金は約33億1117万円。前の年度の約26億3499万円から、約25.7%増えた。一方、交付金全体の国費は前の年度より約5.7%減っている。全体は減ったのに、奈良は増えた。

「ご祝儀」と呼ばれた理由

増えたのは大和郡山市の駅前の事業だけではない。同じ市の公共下水道の第3期事業は6090万円から1億5400万円で約2.53倍。香芝市の下水道は1億1529万円から1億6506万円で約1.43倍。田原本町の事業は875万円から1350万円で約1.54倍。どれも奈良2区の自治体の事業だ。

下水道管の工事現場
写真はイメージ Photo by Rose Galloway Green on Unsplash

時期も悪かった。簗和生前農相が5月に地元で「道路予算は大幅にカットした」と話し、栃木3区の那須烏山市と那珂川町の名前を挙げていた。2月の衆院選で簗氏を支持しなかった首長がいる自治体だ。簗氏は10月6日の会見で「少し誇張した表現をした」と釈明し、発言を撤回して謝った。国土交通省は調べたうえで「減額の働きかけは確認されなかった」と発表している。

簗氏を大臣から外したあとも、高市首相は野党が求める全省庁の調査を断っている。「調査を行わずとも、改めて適切な予算の配分を徹底させる」。高市氏の公式サイトには、2014年12月から2026年1月までに、この交付金を「確保」した実績が335件並んでいるという。減らされた町がある一方で、首相の地元が増えた。だから「ご祝儀」と書かれた。

ネットの評判

この記事には、はてなブックマークが254件付いた。多いのは批判だ。全体が5.7%減るなかで6.24倍という数字そのものに驚く声。憲法15条2項の「公務員は全体の奉仕者」を引く声もある。

一方で、分けて考える声もある。簗氏が問われたのは予算を減らしたことではなく言い方だ、という指摘。地元に予算を引っ張るのは議員の仕事で、報復で削るのとは別だ、という指摘。賛否は「地元に予算を持ってくること」そのものより、「減らす力まで持っていいのか」のあたりで割れている。

「それが政治家の仕事だ」という言い分

交付金の仕組みを見ると、この言い分にもある程度の理屈はある。

駅前の広場
写真はイメージ Photo by Yoshihiro on Unsplash

専門家の西田亮介氏がYahoo!ニュースに書いた解説によると、この交付金は、まず自治体が3〜5年単位の整備計画を作って国に出すところから始まる。1〜2月に都道府県が市町村の分をまとめて地方整備局に要望を出し、4月ごろに内定の通知が来る。大和郡山市の事業は、近鉄郡山駅の移設に絡む駅前の再開発だ。1年で終わる工事ではない。

市はどう言っているのか。日刊ゲンダイの取材に、市の担当者は高市事務所の陳情について「そういった情報は聞いていない」と話している。

西田氏が指摘しているのは、もっと手前の話だ。この交付金の箇所付けの基準が公表されていない。国交省は、自治体の要望や進み具合などを「総合的に勘案」すると説明するだけだという。西田氏は「見えない裁量こそが陳情の温床になってしまうともいえる」と書いている。

この交付金の国費は、2013年度の9031億円から2026年度の4597億円まで減った。13年で半分だ。

配分の基準は、国交省の公表資料に書かれていない。だから6.24倍が陳情の成果なのか、駅前工事の順番が来ただけなのか、外からは確かめようがない。

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