髪の色は自由。
名札も本名でなくていい

――あるコンビニが、バイト希望者に

写真はイメージ Photo by 勻蔚 on Unsplash

10/16 15:53 / 発信国:日本 / 記者:工藤

ファミマのバイト応募が前年比120% その9月、ガガのCMは6日間だけ

ファミリーマートが10月13日、店のアルバイトの応募数が2026年9月に前年同月比で約120%になったと発表した。人手不足に悩む会社が、1か月で応募を2割ほど増やした。そして9月25日からは、レディー・ガガが店員の服でレジを打つテレビCMが流れている。

CMは全編モノクロだ。ロサンゼルスのスタジオにファミマの店を作って撮った。ガガはレジ打ち、商品の陳列、モップがけを、ステージの動きみたいにこなす。最後に日本語で「ファミマではたらく?」と手招きして終わる。ガガは撮影のあと「とても刺激的でアーティスティックな経験だった」と話した。

では、応募が2割増えたのは、このCMのおかげなのか。

ガガが流れたのは、9月のうち6日間

日付を並べると、少し話が合わない。

ファミマが出した数字は「2026年9月」の応募数だ。比べているのは2025年9月。一方、ガガのCMの放映が始まったのは9月25日だ。数えている1か月のうち、CMが流れていたのは最後の6日間しかない。残りの24日間は、ガガが出てくる前に積み上がった分だ。

店の中で流す「ファミマTV」のジャックも、全国約1万1600店で9月25日11時から26日23時59分までの2日間だけだった。

数字を動かしたらしいのは、Tシャツと髪色

では、CM前の24日間に何があったのか。

たたんで積まれたTシャツ
写真はイメージ Photo by Dan LeFebvre on Unsplash

9月1日、ファミマは店員のユニフォームを10年ぶりに変えた。ブルゾンからTシャツになり、動きやすくなった。胸と背中には「FamilyMart Staff」のロゴが入る。作るお金は約3割減ったという。

同じ日、身だしなみの決まりもファミマコーデとして作り直した。髪の色の決まりを、初めて「自由」とはっきり書いた。重ね着も、ヒジャブもいい。名札に本名を出さなくていいワーキングネームも入れた。

9月12日からは、求人サイト「ファミJOB」から応募した人に、200円分のファミペイギフトコードを配り始めた。面接まで進んだ人には、抽選で500円分。採用のためのこういうキャンペーンは、ファミマでは初めてだという。

その前、8月26日には両国国技館で「ファミフェス2026」という催しも開いた。音楽と映像とファッションを混ぜたショーで、いろいろなスタッフが自分らしく働く姿を見せる狙いだった。

ただ、ファミマは何がいくら効いたかの内訳までは出していない。どれが決め手だったのかは、公表された資料では分からない。

派手さなら、ガガに全部負ける。でも応募のボタンを押すかどうかを決めたのは、たぶん髪色のほうだと思う。

ネットの評判

ガガのCMは、むしろ海外のほうが騒がしかった。掲示板サイトRedditのガガファンの集まりには「朝起きてこれを見るとは思わなかった」「衣装が最高」という声が並んだ。「アメリカの7-ElevenでガガがCMをやるなんて想像できない」という書き込みもあった。

Xでも「最初の反応は『なぜ?』だった」「なぜかわからないけど笑ってしまう。ガガ大好き」と、戸惑いと好意が混ざる投稿が続いた。日本のCMを見慣れた人からは「日本のCMとしてはかなり控えめ」という冷めた声も出た。

一方、海外の経済メディアは笑っていない。英フィナンシャル・タイムズは、ガガがモップをかけ、フライドチキンを渡す場面を紹介した。そのうえで、日本の大きな会社が人手不足に向き合うため、広告のお金と採用にどんどん力を注いでいると書いた。米ブルームバーグは、日本のコンビニは働くときの身だしなみが比較的厳しく、それが若い人を遠ざけていると指摘した。

髪の色を「自由」と書いたのは、ユニフォームを変えた9月1日。ガガが店に立ったのは、その24日後だった。

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