AIには、
触らせません

――中国でよく使われるアプリ151本が、ByteDanceのAIスマホに

写真はイメージ Photo by Adomas Aleno on Unsplash

10/16 14:04 / 発信国:中国 / 記者:工藤

出前も宅配も任せられる中国のAIスマホに、財布まで預けられるか

上海のAI企業「阶跃星辰」が、10月13日に新しいスマートフォンを発表した。端末ブランドは「STEPX(阶跃终端)」、製品は「STEPX Neo」。3999元(日本円で約94,300円)で、16日の午前10時13分に売り出す。

売りは、アプリを自分で開かなくていいことだ。「出前を頼んで」と声をかけると、中に入っているエージェント「阶跃Amoo」が、提携先のサービスを呼び出して注文まで進める。基本ソフトは「Step AOS 1.0」。AIのアプリを足したのではなく、基本ソフトから作り直したという。

ここで引っかかる。代わりに注文するなら、支払いまで任せることになる。どこまで渡していいのか。

アプリの側が、先に線を引いた

ByteDanceのAIスマホに入る「豆包手机助手」は、画面を読み取って人の代わりに指で押す方式でアプリを動かす。9月14日から30日間、SAEPという仕組みで、AIに画面を押させてよいかをアプリ会社に表明させた。10月14日に期間が終わるころ、断ったアプリは151本に上った。

スマホの画面に並ぶアプリのアイコン
写真はイメージ Photo by William Hook on Unsplash

断ったのは、テンセント系が65本、アリババ系が23本、美団が11本など。微信、淘宝、支付宝、銀行のアプリ、KimiやDeepSeekも並ぶ。毎日触るアプリが、そろってAIの操作を断った。人の手で使う分には、これまでどおり使える。

なぜ断るのか。36氪は3つ挙げている。支払いやログインでお金を抜かれたとき、だれの責任になるかが決まっていない。不正を見張る仕組みが、AIの操作を不正と見てしまう。そして、自社のアプリに人を長くいさせたい。

STEPX Neoは、逆の立場にいる。21財経によると、STEPXは画面を押す方式をとらず、APIでつなぐ。開ける範囲は、アプリ側が決める。同じ大手が、STEPXには窓を開け、豆包には門を閉じた。快思慢想研究院の田丰院長は、阶跃ではアプリが開ける機能を自分で決められると話した(訳)。

四つの備えと、白紙の更新料

渡した権限は暴走しないのか。STEPXは、Step AOSに四つの備えを置いたという。何をしているかを追え、大事な操作は囲いの中で動かし、やったことは取り消せる。ただ、支払いの前に本人へ確認を出すのかは、出典では分からなかった。

テーブルに置かれた財布と小銭
写真はイメージ Photo by Emil Kalibradov on Unsplash

支付宝とは、出前や宅配、役所の手続きなど86種類の用件で組み、うち260以上はアプリを開かずに片づくという。ただ、微信の本体は入っていない。いちばん使う連絡の窓口は、まだ開いていない。

3999元(日本円で約94,300円)には、毎月100億トークンを12か月分使える権利が付く。13か月目からいくら払うのかは、発表されていない。21財経によると、中国では買い替えまでに平均40.2か月以上かかる。3年以上使う道具の、2年目の値段が白紙だ。

阶跃星辰の印奇会長は発表会で、これは「まだ成熟していないかもしれない第一世代の製品だ」と話した(訳)。

ネットの評判

体験会では、この値段は「トークンを買ったらスマホが付いてくる」ようなものだと冗談を言う投稿者もいた。レビュー投稿サイト「什么值得买」で多いのは、更新料への不安だ。AIが航空便をいくつも探したのに、結局は携程から自分で注文したという書き込みもある。

AIが代わりに動くスマホが店に並ぶ2日前、中国でよく使われるアプリ151本は、別のAIスマホに自動操作をさせないと表明していた。

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